有酸素運動を長時間行う登山は、消費カロリーの高いスポーツ。朝昼の食事以外にも、行動中にカロリー摂取して「シャリバテ(いわゆる体と脳のエネルギーが切れてしまう状態。歩けなくなったり、ひどいと意識を失うことも)」にならないように気をつける必要がある。

 そこで、登山中の休憩時(5〜10分程度)に食べる行動食について、選び方とおすすめを紹介していきたい。

■選び方のポイント

登山道で立ったまま食べることが多い行動食(撮影:足立 亜里紗)

 まずは、“登山中に食べる”という観点、つまり“運動中の休憩時、山道で短時間で食べる”ことを考慮して、行動食をどのように選んだらよいかをまとめる。

●ポイント1:持ち運びやすさ

 気温が高い状態や他の荷物と一緒に入れていても、形が崩れないものを選ぶとよい。たとえば、生のフルーツは水分が出たり、サクサクしたクッキーはボロボロになったりと、他の荷物や周りを汚す可能性があるので避けたい。

●ポイント2:食べやすさ

 サイズが大きかったり、食べた後に飲み物が欲しくなるもの(味付け、食感)は、短時間の栄養補給としては食べづらさを感じる。また、食べる際に手が汚れるものだとティッシュのゴミが増えるのでおすすめしない。取り出してから口に含むまでをスムーズにおこなえるものを選びたい。

●ポイント3:栄養と味のバランス

 登山で消費するカロリーを摂取する、のが第一目的なので「糖質」は必須要素。甘いものだと手軽に摂取できる。

 加えて味のバランスも重要だ。同じものを食べ続けると飽きることもあるし、味覚が一辺倒なのも避けたい。「甘いもの」と「しょっぱいもの」を両方持っていくことをおすすめする。

■持ち運び方はどうすればよいか

 続いて、行動食の持ち運び方のポイントをまとめる。

●包装は最小限に

 荷物になるので、山の中でゴミを出すのはなるべく避けたい。ジップロック付きのパッケージであれば開封時に捨てる上部の箇所や、フィルムが付いていれば剥がしておくなど、事前に廃棄できるものは除いてから準備をする。

●ボトルに移し替える

 重量の軽いクリアボトル(100円ショップなどで入手可能)に、中身だけ移し替えて持っていく方法がおすすめだ。ゴミを減らすことにつながるし、そのまま口に持っていけるので、手も汚さずサッと食べられるという利点もある。

 飲み終わった蓋付きの乳酸菌飲料の空きボトル(「R1」など)を、クリアボトルの代わりに使うこともできる。

食感や味付けが違うものを混ぜると、味にバリエーションが出て楽しい。サクッとした食感と塩味の「ポテコ」(左)と、カリッとした食感で梅味の「柿の種」(右)(撮影:足立 亜里紗)

 そして、用意した行動食はすぐに取り出せるように、バックパックの上の方やポケット、あるいはサコッシュなどに忍ばせておくのがよい。

バックパックのメッシュポケットの中に行動食ボトルを収納(撮影:足立 亜里紗)