関西で知る人ぞ知る恋人の聖地、縁結びで有名な露天神社。「露天 神社(ろてんじんじゃ)」と呼んでしまいがちだが、「露 天神社(つゆの てんじんしゃ)」が正解である。「お初天神」という通称で言ったほうがピンとくる方は多いだろう。

 さて、この神社があるお初天神商店街は、そりゃもう楽しそうな居酒屋がズラリと立ち並ぶ。実は私も、神社よりもそっちのほうが俄然楽しみで、わざわざ夜に行ったほどだ。

阪急大阪梅田駅・Osaka Metro谷町線東梅田駅より徒歩5分。曾根崎お初天神通り商店街を歩いているとひょっこり鳥居が見えてくる

 しかし、神様はそんな邪な心をお見通しだった。ずっと晴れていたのに、梅田に着いたとたん土砂降りに……。

 いきなりの悪天に、カバンに入れていた日傘を差すが、日傘小せぇー!! そんなもので追いつく雨量ではなかった。叩きつけるように肩からリュックから足からすべてに降り注いでくる。しばらく商店街に留まり様子を見ればよかったのに、せっかちな私は何も考えず鳥居をくぐってしまった。

拝殿。創建から1300年の歴史を持つ曽根崎・梅田地域の総鎮守である。美しい。

 もともと縁結びとは関係なかった露天神社。創建から1300年の歴史を持つ曽根崎・梅田地域の総鎮守である。それが恋人たちの聖地となったのは江戸時代。1703年、この神社の境内「天神の森」で堂島新地天満屋の遊女「お初」と内本町平野屋の手代「徳兵衛」が許されぬ恋を果たすため心中したのだ。これをもとに近松門左衛門が人形浄瑠璃「曽根崎心中」を作り、大評判に。そして、恋の成就を願う人々が訪れるようになったそうだ。

 この日も、こんな土砂降りなのにカップルを何組も見た。なんて熱心なのか恋人たち。彼らのもとに永遠の愛よ来たれ!  いやその前にできれば神様、雨雲をどっかやってください!

お守りもバラエティに富んでいて、ファンシーグッズショップ並みの楽しさ。

 豪雨のせいで変なテンションになりながら、目的の「舞獅子みくじ」(200円)に行く。傘をさしながら財布を開け小銭を探す難しさよ。濡れた手で200円を投入する難しさよ……。もう傘はほとんどその役割を成しておらず、ずぶ濡れ状態である。

「舞獅子みくじ」