■タイムリミットは2時間半だけ!
小屋明けに先駆け、5月末に準備のために入山した際、水のポンプアップにトラブルが発生していた。ヘリで荷上げをする前に、小屋まで水を引いておこうと試したら、なんとポンプから水が吹き出してしまうではないか。もう…… 言葉もでない。
なにがいけなかったのだろう。どこか使い方や手順を間違えてしまったのだろうか。昨日は遅くまで動かし続けたからだろうか。どうしてだろう…… といくら考えたって、何度見たって、もう水が吹き出してしまっている事実に変わりなし。なんてこった。
よって、今回は水回りの修理を担当してもらう地元の作業員さん2名にも、ヘリで入山してもらうことになった。山上での作業時間は、ヘリの荷上げをしている間の2時間半ほど。その間にポンプを交換し終えなければならない。さらに欲を言えば、プロが山にいてくれるうちにポンプアップが正常にできるかの動作確認までしたい。小屋に水が引けないなんて死活問題だ。
今回、役場の皆さんが荷上げのお手伝いにきてくれたのには、そんな理由もあったのです。
■給水施設の修繕も今回のメインイベント!
私はというと、最後の荷が無事に吊り上げられるまでは、山中にいるスタッフと連絡を取り合いながら下で段取りをしなければならない。つまり、現地で水回りを直す作業は、みなさんにお任せするしかないのです。
自分が現地にいたからといって状況が変わる訳ではないだろうけれど、見えないと心配ごとばっかり。最悪、修理作業は間に合わなくたっていいから、とにかく皆さん怪我のないようにお願いします、というのが本音だ。
交換するポンプは85kgほど。修理作業をするには、ヘリで荷を下ろす山小屋から水場の中継点となる急峻な斜面の下まで、ポンプを運ばなければならない。交換は問題なくできるだろうけど、2時間半という時間制限がある。現場までいかに早く安全に運べるかが、今回の計画の一番のミソとなる。
どのように中継点まで運び下ろそうか、事前にいろいろシミュレーションしてみたのだけど、どれもイマイチ。なにか良い方法はないのか。そんな時、ヘリの飛ぶ敷地の隣にある茶箱工房の大将が「俺に見せてみろ〜」と力を貸してくれた。ありがたや。
そうして完成したのが、冒頭のお神輿のような形の台にポンプを乗せて運ぶスタイルです!
山小屋になくてはならないライフライン、ポンプ様。なんだかかっこいいお姿になりました。