数年前から根強く続く「深海ブーム」。大人が楽しむ世界かと思いきや、どうやら子どもも夢中になってしまうようで、筆者の甥っ子もメンダコやらタカアシガニ、ダイオウグソクムシなんてマニアックな深海生物のフィギュアや人形を大事そうに抱えております。

 今回は2011年にオープンしてブームの火付け役となった「沼津港深海水族館」を訪れた際に、すぐ近くの沼津港でいくつか食べられる深海魚を見つけたので、実際に食べてみたお味をレポートしてみたいと思います。

■鼻高々な顔が名前の由来

冷凍干物として売られていました

 まず一匹目は、数ある深海魚の中でもその独特なイケメンフェイスで人気の高い「トウジン」。鼻が高い外国人のような顔立ちが唐人=西洋人のように見えることから、その名がついたと言われています。神奈川では「チョッピー」と呼ばれています。

 実際は海外の方ではなく、日本の水深250〜1,000mほどの深海にお住まいです。

身質は上品な白身のようです

 沼津港では「ゲホウ」という名前で干物として売られていました。お店の方によると旬は寒い時期で、季節によっては地元では生の個体も出回るそうです。

口も独特なおちょぼ口です

 調理前に全体をよく観察してみましょう。

 独特なのは顔の形だけではありません。真っ暗な深海にいるため、ギョロッと大きな目も特徴です。

 下向きに付いた小さなおちょぼ口は、底生魚や底生無脊椎動物を効率よく食べるためのもの。他の深海魚同様にお腹の中が黒いのは、発光する深海生物を食べた時にお腹が透けて光ってしまい、他の魚に見つかるのを避けるためと言われています。