今回は、ブラックバス釣りの雑魚として有名な魚、日本の生態系を乱す特定外来生物「ブルーギル」を釣って食べる企画。

 筆者は釣り歴こそ30年以上だが、自他ともに認める釣り下手である。妻にも「食べられるサイズの魚を釣ったのは、十数年前に一度あったかどうか……」と馬鹿にされている。また、これまで何度も釣りが初めてという知人友人を連れて行ったが、その初心者が釣りあげる魚ですら、筆者の釣った魚より数も大きさも上だった。

 それゆえ、絶対に釣れるブルーギルを狙うのである。特定外来生物の駆除にもなってよいだろう。加えて、ブルーギルは雑魚ながらホロホロの白身で、臭みもなく、かなり美味なのだ。

 実のところ、身が多いブラックバスも食べたかった。しかし筆者の腕では、ブラックバスは釣果ゼロの可能性が高い。そこで今回は、絶対釣れる自信があるブルーギルだけを狙う。

■ブルーギルがおいしくないワケがない理由とは

 ブルーギルが日本に入ってきたのは1960年。皇太子時代の上皇陛下が、食用魚としてアメリカから、15匹のブルーギルを日本に持ち込んだのが始まりだ。しかし成長が遅く、養殖には向かなかったらしい。ところが、ブルーギルは繁殖力が強かったため、生態系を脅かすほどになってしまった。

 2007年11月11日、当時天皇であった上皇陛下は、滋賀県大津市で開かれた「全国豊かな海づくり大会」の式典にて、ご自身がブルーギルをアメリカより持ち帰ったことを明かされ、ブルーギルの異常繁殖について「心を痛めています」と後悔のお言葉を述べられたという。

 ただ、おいしいからこそ食用魚としてやってきたブルーギル。今や日本ではブラックバス釣りの雑魚としか見られておらず、食用魚だと知る人は少ないが、おいしくないワケがない。実際、原産国のアメリカではよく食べられており、フライパンにスッポリ収まることから、現地では「パンフィッシュ」とも呼ばれているようだ。