ゴールデンウィークを過ぎ、暑くもなく寒くもない、山歩きには快適なシーズンがやってきた。今回訪れたのは、眺望ゼロなのに「ふるさと兵庫100山」に選ばれている『妙高山(みょうこうさん)』。新潟県妙高市にある日本百名山の妙高山とは別の山だ。

 なぜ眺望ゼロの山がふるさと兵庫100山に選ばれているのだろうか。WEBで調べてみても、妙高山の登山記録は多く出てくるものの、その魅力がイマイチ伝わってこない。そこで実際に足を運んで、筆者独自の視点から、その理由を探ってみることにした。

■丹波比叡、妙高山神池寺

妙高山神池寺本堂に至る石段(撮影:野口宣存)
妙高山神池寺常行堂(撮影:野口宣存)

 比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)のように、丹波の妙高山は神池寺(じんちじ)という寺院がセットになっている霊山。神池寺は延暦寺と同じ天台宗の寺で、妙高山は「丹波比叡(たんばひえい)」と称される。この寺は奈良時代から続く古刹(こさつ)で、「太平記」には京都で僧兵が大暴れしたエピソードも残っている。

太平記に書かれた妙高山神池寺にまつわるエピソード(撮影:野口宣存)

 しかし観光地化した比叡山延暦寺とは違い、妙高山神池寺は静かな山寺だ。