いいスキーって何だろう? 100人のスキーヤーに訊いたら100通りの答えが返ってきそうな疑問だが、共通するのは“思った通りに動いてくれること”ではないだろうか。雪が積もった斜面を身長と変わらない長い板に両足を固定されて滑り降りるのだから、普通に考えれば不自由この上ない。
“思った通りに動いてくれる”いいスキーとはターンがしやすいってことではないだろうか。求められる細かな要素はレベルや志向によって様々であるかもしれないが、いいスキーというのはプロでなくてもその良さを感じられることでもある。
2023年ELAN(エラン)のニューモデル「PRIMETIME(プライムタイム)」はその要素をふんだんに盛り込んだ“いいスキー”と言えそうだ。
■ELANスキーの代名詞 左右非対称のAMPHIBIOテクノロジー
ELANスキーといえば「AMPHIBIO(アンフィビオ)」テクノロジー。これはスキーの外側と内側でロッカーとキャンバーという左右非対称の構造を持たせることにより、ターンの際には操作性の良さと安定感を得られるELAN独自の開発技術だ。ELANのスキー(AMPHIBIO)が多くの人に乗りやすいと言われる要因となっている。
他ブランドとは一線を画す独特な構造のスキーは、乗り手のレベルを問わず、上級者にはスピードアップしたキレのあるターン。初中級者には扱いやすさであったり、自然と上達を感じることができるスキーとして幅広く支持されてきた。
ゲレンデ用オールラウンドモデルとして登場したAMPHIBOであったが、そのテクノロジーはパウダー用のファットスキーにも採用され、さらにその支持を広げている。
■AMPHIBIOはあらたにPRIMETIMEシリーズへとモデルチェンジ
AMPHIBIOが登場したのが2011年。その後、根幹となる左右非対称構造はそのままに幾度もモデルチェンジを繰り返してきたが、2023-24シーズンはこれまでにないモデルチェンジが図られる。
左右非対称の構造を活かし、さらに効率的なカービングターンを可能にするために開発されたニューモデルは名称も新たに「PRIMETIME」シリーズへと変更される。
一般的にスキーはフラッグシップのレーシングモデルに最新テクノロジーが搭載され、一般モデルへと落とし込まれていくのがセオリーだが、ELANはそうではない。レーシングモデルと同等のスペックながらも一般スキーヤーにとっての乗りやすさを追求した開発が行われ、2023-24シーズンに送り出されるのがPRIMETIMEシリーズとなる。
■左右非対称は構造だけでなくスキーの芯材にも採用されたニューテクノロジー
ニューモデルの「PRIMETIME」では新たに「パワーマッチテクノロジー」というものが搭載される。これは今までの良さ(左右非対称)に新しい良さが、まさしくマッチした新感覚。見た目からも分かるようにスキーの左右で厚み、硬さが異なるウッドの芯材が採用されている。
厚みを持たせたスキーの内側はターンの際にはいちばん負荷のかかる部分をサポートすることで、しっかりと雪をグリップし、より安定感に優れた仕上がりとなっている。一方、外側は軽量に仕上げることにより、軽快なスキー操作を可能にしてくれる。
このようにスキーの芯材も左右非対称にすることで、AMPHIBIOテクノロジーはさらに効率的なターンを実現してくれる。これまでやや不安に感じていた急斜面やちょっと荒れた斜面でも安定したスムーズなターンを描くことができるだろう。