「えちごトキめきリゾート雪月花」

 「えちごトキめきリゾート雪月花(せつげっか)」は、新潟県上越地方を走る第三セクターえちごトキめき鉄道のリゾート列車だ。車窓から新潟の海と山の景色を堪能できる。

 今回ご紹介するコースは、漫画『新・駅弁ひとり旅 ~撮り鉄・菜々編~』第36話の舞台となっている。主人公が乗車したえちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」を中心に、糸魚川から上越妙高までの旅の様子を櫻井寛さんの写真で紹介してみたい。

糸魚川駅舎。レンガの入口は駅に併設された糸魚川ジオステーション「ジオパル」

■糸魚川ジオステーション「ジオパル」 

 最初に向かったのは糸魚川駅の「ジオパル」だ。糸魚川ジオステーション“ジオパル”は、糸魚川市が北陸新幹線糸魚川駅高架下に建設した「糸魚川世界ジオパーク」の魅力発信基地であり、鉄道実車両、模型、プラレールなどを楽しむことのできる交流施設。大糸線で活躍した人気車両、「キハ52-156」の実車のほか、「トワイライトエクスプレス」の食堂車が実物大で再現されている。外装から内装にいたるまで精巧なつくりで、車窓に流れる映像を見ていると本当にトワイライトエクスプレスに乗車しているような気分になれる。

 「トワイライトエクスプレス」は、日本の豪華寝台特急の先駆けとして約四半世紀にわたり大阪〜札幌間約1500キロを約22時間かけて結んでいた。青函トンネルが開業した翌1989年に華々しくデビューした日本一の長距離寝台列車で、ここ、糸魚川付近はまさにトワイライトタイムに走行していたのだ。ちょうど夕日の沈む日本海を一望でき、“たそがれ”のひと時を味わうことができたのだが、北海道新幹線開業のため惜しまれなら2016年に廃止された。 

再現された「トワイライトエクスプレス」の車体。糸魚川産のスギ材と地元企業の職人の技を生かした木造で、備品の一部には当時実際の車両で使用されたものもある。

再現された食堂車「ダイナープレヤデス」

■観光急行455

●糸魚川 12:34発  

 ジオパル見学を終え、えちごトキめき鉄道の人気列車「観光急行455」に乗車。この列車は、かつて北陸本線を走っていた交直両用の急行用電車、455系を再現したものだ。当時(昭和40〜50年代)、北陸本線には、「くずりゅう」「加賀」「ゆのくに」「立山」などの急行が走っていたが、今日、JRに急行は1本も走っていない。この観光急行455は、オールドファンには懐かしく、若い世代には新鮮に映るのではないだろうか? 

国鉄色赤13号(ローズピンク)が鉄道ファンの心をくすぐる
昭和レトロな車内が郷愁を誘う

●市振 12:52着 13:14発

 市振駅で22分間停車した後、列車は糸魚川へ折り返す。ここは、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの終点であり、あいの風とやま鉄道線と接続している。駅の西側を流れる境川が富山県・新潟県の県境である。

親不知の海岸付近を走る観光急行455

●糸魚川 13:32着 

 「観光急行455」が、糸魚川駅の1番線に到着すると、すでに「雪月花」は2番線に入線している。

 この観光急行455だが、5月に夜行急行を運行することが発表されている。「夜行急行が到着後引き続き普通列車になる当時の列車運用」として、夕方発の10時間を超える座席夜行急行となるというから興味深い。今の時代、ボックスシートの夜行列車とは、なかなか酔狂な企画である。

観光急行455公式HP https://www.series455413express.jp/

糸魚川駅に停車する「雪月花」