日本一寒い村といわれる、厳冬期の北海道・占冠(しむかっぷ)。JR新千歳空港から電車で60分、北海道のほぼ中心、鵡川(むかわ)の最上流部にある。2001年1月14日にはマイナス35.8℃を記録するなど、年に一度はマイナス30℃を下回る極寒の村だ。

 冷え込みの激しい明け方には、マスクから漏れた吐息でまつ毛も凍るような体験ができる他、朝陽に照らされ輝くダイヤモンドダストも見られる。厳冬期の占冠を舞台に、本州では味わえないような非日常体験を紹介する。

■見られるのは運次第?  大気に輝く「ダイヤモンドダスト」

キラキラと輝くダイヤモンドダスト(撮影:仲地宏樹)

 早朝の朝陽に照らされ、キラキラと輝くダイヤモンドダスト。凍てつく空気と一面の雪景色、いくつかの気象条件が揃った時だけ観測される自然現象だ。

 本州では滅多に見られないが、ここ占冠は条件が揃いやすく、1月から2月にかけては数日に1度のペースで見られる。

 発生条件は、気温はマイナス10℃以下の、よく晴れた明け方。早朝は、熱を持ったものがその熱を外に放射して冷える「放射冷却現象」により気温が急激に下がるため、寒冷地であればマイナス10℃の条件は簡単にクリアできる。

 重要なのは天気。陽の光が差し込まなければ、大気中に漂う氷の結晶を肉眼で確認できないため、天気は大切な条件になる。

 また、遠くをはっきりと見渡せるだけの視界と、大気中の適度な湿度も必要だ。ダイヤモンドダストは空気中の水蒸気が結晶化し、陽光を浴びて空気中で輝く現象。大気中の湿度が少なければ、結晶化する水分量も少なく発生しないのだ。

 これらの条件を満たしたら、あとは運次第。防寒着を着込み、明け方に散策してみよう。条件が揃えば、ダイヤモンドダストは肉眼では確かめられるが、氷の結晶が小さく細かいため、スマートフォンや一眼レフでの写真撮影は難しい。建物や木の影などの暗い色を背景に入れて挑戦してみよう。

 スマートフォンで撮影を行うときは、気温が氷点下の際は機種を冷やさないように注意しよう。あっという間にバッテリーを消耗してしまう。筆者はスマートフォンを冷やしすぎて、充電満タンの電源が30分程度で落ちてしまった。

 対策としては、外気にさらし過ぎないようにし、バッテリー部分にカイロを貼るのも消耗を防ぐ手段の一つだ。