■ホールトマトにコンソメ類は不要

さて、まずはホールの使い方である。ポイントはたった1つ、「煮詰めること」だ。
ホールトマトをクッカーに入れ、木べらなどで果肉を潰しながら10分ほど加熱する。火力によって加熱時間は変わるが、全体の量が減ったらしめたもの。水分が蒸発して、驚くほど味が濃くなるのだ。あとは塩とオリーブオイルを加えるだけで、絶品のトマトソースになる。
パスタ用のソースを作るなら、最初にオリーブオイルでニンニクを炒め、そこにホールトマトを加えて煮詰めればよし。トマトが持っているグルタミン酸はうま味成分の一種だから、コンソメなどのうま味調味料を足さなくても、煮詰めるだけで十分美味しいのであります。
■カットは生のトマト代わり

一方、カットトマトの使い方でオススメしたいのは「トマトトースト」だ。こんがりと焼いた食パンにたっぷり載せて(端からこぼれるほど)、オリーブオイルと塩コショウをかけるだけで缶成。栄養満点で手間いらずなので、トマト好きにはぜひ試してほしい。あとは好みでタバスコやチリペッパーをかけてもいいし、粉チーズをかけるのもアリ。
カットトマトのポイントは、ずばり「生のトマト代わり」だ。そのまま食べられるから、サラダに加えたり、タコライスの具に使える。
もちろん加熱してもいいので、たとえばトマトピューレごと麺料理に加えるのはどうか。スープにトマトのうま味がプラスされるため、いつものインスタント麺も格上げされるはずだ。
近年の研究で、トマトのうま味成分にはグルタミン酸だけでなく「グアニル酸」も含まれていることがわかった。グアニル酸は、少量でもグルタミン酸のうま味を増強する働きがあるのだ(イノシン酸と似てる)。しかもそのグアニル酸は、トマトを加熱すると量が増えるというから面白い。加熱加工されるトマト缶が美味しいのには、そんな秘密があったのだ。