正月も過ぎ、日常生活が戻ってきた。年末年始に、しっかり正月太りしてしまった人も多いのではないだろうか。

 今回は正月太りを解消する登山を紹介。大阪府豊能郡能勢町と兵庫県川辺郡猪名川町の府県境にある、「摂津国風土記」にも出てくる三草山(みくさやま)だ。

 三草山を選んだ理由は、正月でなまった体でも、ギリギリ耐えられるレベルの山であるから。標高564.0mの三草山は、標高413m地点にある北摂の古道「才ノ神(さいのかみ)峠」からだと、ゆっくり歩いても約30分で登頂できる。

 また、三草山周辺は歴史も感じられる場所であり、見どころスポットも多い。楽しみながら正月でなまった体を呼び起こすには、ちょうどよい山なのである。

■北摂の古道「才ノ神峠」からスタート

江戸時代初期からある才ノ神峠の道標(撮影:野口宣存)
才ノ神峠にある三草山登山口(撮影:野口宣存)

 才ノ神峠とは、大阪府豊能郡能勢町と兵庫県川辺郡猪名川町の府県境から、約300m北にある八差路の古道。

 寛文11年(1671年)と彫られている峠の道標は、能勢町指定有形文化財で、江戸時代初期の貴重な道標だ。

 また道標によると、ここが徳川幕府直轄だった多田銀銅山、有馬温泉、酒造りで有名な池田などへ行く交通の要衝であったことがうかがえる。

 そんな才ノ神峠の八差路の1本が三草山の登山道だ。

才ノ神峠北側、八差路のうちの4本の分岐(撮影:野口宣存)
才ノ神峠南側、八差路のうちの4本の分岐(撮影:野口宣存)

 登り始めから、やや急な登り坂。その急な傾斜はほぼ休みなく、途中の眺望も一切楽しめないまま頂上まで続く。

 ただ頂上に到着すると、視界が一気に開けるので、それを楽しみに登るとよい。筆者の正月太りの体で休み休み歩いても、30分くらいで登頂できた。

三草山山頂までは尾根道をひたすら登る(撮影:野口宣存)
三草山登山道の階段は幅が狭く、削って上を平らにしてあるので歩きやすい(撮影:野口宣存)

 一方、下りは急になるので、15分くらいで才ノ神峠まで戻れるが、勢いあまって転倒しないよう、注意したい。