アウトドア料理に「炭」は欠かせません。わたしが炭を使って料理を始めたのは、30年くらい前のこと。当時は、同級生たちと山梨県道志村の河原でよくキャンプをしていました。

 最初はシンプルに焼くだけの焼肉的な料理ばかりでしたが、『Made in USA Catalog』の世界観の格好良さがメディアで盛んに取り上げられていた時代だったこともあり、次第に「アメリカンなBBQ料理」を意識して作るようになりました。当時はアウトドアの経験や知識だけでなく、情報も少なく、ましてや炭の種類にもこだわりはありませんでした。

■炭は大きく2つの種類に分けられる

立派な鮎は田辺市大塔村の名産のひとつ。清流が今も残る証拠といえる

 以来、さまざまな炭火料理を作っているうちに、炭には大きく分けて2種類あることに気がつきました。白炭と黒炭です。炭の代表格「備長炭」は白炭、皆さんもよく使う「なら炭」などは黒炭に分類され、それぞれに特徴があります。

 炭の違いを意識しながら肉を焼いてみると、「どの炭が美味しく肉を焼き上げるか?」が実感できます。黒炭よりも備長炭などの白炭を使った方が、遠赤外線効果が強く、美味しく食材が焼き上がるのです。

いい炭と肉があれば、あとは焼くだけで間違いない

 備長炭のなかでも、もっとも有名なものは「紀州備長炭」でしょう。この炭は紀州田辺(現在の和歌山県田辺市)が発祥です。江戸時代から品質の高さに定評のあった田辺産の炭に、炭問屋が「備長炭」と名付けたことで日本中に広まったそうです。備長炭に400年以上もの歴史があるとは驚きですね。

今回の旅では、大塔村にある「百間山渓谷キャンプ村」に宿泊した