秋になると本州の多くの一般河川の釣りが禁漁時期となる。それと入れ替わるように、ニジマスを放流して釣りを楽しめる「冬季釣り場」がここ数年かなり増えてきた。

 都内を流れ東京湾に注ぐ荒川。その上流、埼玉県秩父を流れる荒川本流もそのひとつだ。首都圏からも近いうえに川までのアクセスも良く、定期的に活きのいいニジマスを放流しているために人気の釣り場だ。

■ニジマスの冬季釣り場は2箇所! 漁法で場所が異なるので要注意

「皆野地区」。川までの足場もよく、リラックスして釣りができる

 秩父漁協が管轄するキャッチ&リリース区間は、エサ釣りとルアー用の「秩父地区」(3匹までキャッチ可能)とルアー・テンカラフライフィッシング用の「皆野地区」との2つに分かれている。つまりフライフィッシングの場合は皆野地区に限定される。

※秩父漁協:https://gk-chichibu.blog.ss-blog.jp

秩父公園橋(ハープ橋)が印象的な「秩父地区」の釣り場(2021年11月撮影)

 2月まで定期的に25cm前後のレギュラーサイズ、40cm前後の大型サイズ。さらに、数こそ少ないが60cmクラスの“超大型”サイズのニジマスが放される。レギュレーションや放流情報など、詳しくは漁協のHPをチェックしてほしい。

■放流日の賑わい・ワクワク感!

 朝、河原の駐車場に到着するとすでに何台も車が停まっていた。フライフィッシャーが大半を占めている。ルアーの場合、上流にある秩父地区も対象だが、フライフィッシングを楽しむには自ずとこの皆野地区となる。

レギュラーサイズのニジマスたち

 この日は放流日ということもあって朝から続々と釣り人が集まり、知り合い同士、はたまた初対面でも同好の士ということもあって話が弾む。

 まずは放流作業のお手伝いから。数匹入っていた“超大型”のニジマスは太さも凄まじく「こんなの掛かってもどうしようもない(釣り上げられない)ね」と言いつつも、万が一かかった時の引きを想像するとワクワクしてしまう。

■ステップダウン! 楽しみを共有できるマナー

 放流作業が終わり約30分、釣り人たちを眺めているとランの真ん中くらいでルアーマンが一匹釣り上げていた。それに促されるように川岸で見守っていた人たちも徐々にロッドを手に川に降りていった。

人気の釣り場なので、ステップダウンして皆んなで楽しもう

 エリアの全長は2kmほどあるが、駐車場正面のメインのランはさほど長くない。川岸の地形的に右岸に沿って釣り下っていく。河原には“ステップダウン”を促す注意書きがある。釣り上りが基本の渓流と違い、本流釣りの場合は釣り下りがマナーとなっているところが多い。当日は混んでいたので、まるでベルトコンベアーに乗っているような感じで、お互いに30〜40mほどの間隔を空けてワンキャストするたびに下流へと移動していく。

筆者が釣れたのはこの小型ニジマスだけだった。それでも嬉しい一匹

 ときおり鈍いアタリがあるが、ラインに伝わる感触はモゾモゾとしているだけで、なかなかフッキングまでは至らない。ようやくハリに掛かった魚を慎重に寄せてくると、手のひらサイズのニジマスだった。