テントを張る場所は、キャンプの快適性や安全性を左右する重要なポイントです。自然が広がっている場所や、一見空き地に見える場所などさまざまなスペースが存在しますが、どこでも自由にテントを張っていいわけではありません。
この記事では、テントを張るのに適した場所や不向きな場所の特徴について解説します。デイキャンプやテントの試し張りにも役立つ知識ですので、ぜひ参考にしてください。
■テントを張る場所はどこでもいいわけではない

テントを貼る場所は自由に決められるわけではありません。法律違反にならない場所や所有者の許可がおりている場所を選び、安全性や周囲への配慮を考慮したうえで設営場所を選びましょう。
●合法的にテントを張ることができる場所
合法的にテントを張ることができる場所には、いくつか選択肢があります。もっとも一般的なのは、ルールが整備されており、安心して安心して設営できるキャンプ場です。地面が平らでテントの設営がしやすく、火を使う場所としても安心です。
公園にテントを張ることは可能ですが、全ての公園で許可されているわけではありません。公園によっては、ペグ打ちが禁止されていたり、設営していい場所が限られていたり、さまざまな条件があります。また、予約している人のみ設営が可能な場合や、テントの大きさが指定されている場合もあるので、自治体が定める公園のルールを調べたうえで設営しましょう。
河川敷もテントを張ることができる場所のひとつです。ほとんどの場所でテント設営が可能ですが、場所によって設営禁止区域になっている場合があるため、自治体へ確認をしてから利用しましょう。
●テントを張ってはいけない場所
テントを張ってはいけない場所としてまずあげられるのが、私有地や農地など、所有者がいる土地です。一見空き地に見えても所有者がいるケースも多々あり、所有者の許可なく立ち入ると不法侵入に該当するため注意が必要です。
農地でのテント設営は、農業を妨害する行為になり、トラブルに発展する可能性が考えられます。私有地でテントを張りたい場合は、必ず所有者に許可を取るようにしましょう。
また、国立公園や自然保護地区では、植物の生育に悪影響を及ぼすためテント設営は禁止されています。自然が多いからといって、どこでもテントを張っていいわけではありません。テント設営場所には、許可がおりているキャンプ場や公的に認められている野営地を必ず選ぶようにしましょう。
■テントを張る場所として向いているところ

この章では、テントを張る場所に向いている条件を3つ解説します。思う存分キャンプを楽しむために、安全を考慮した場所を選びましょう。キャンプで宿泊する方だけではなく、テントの試し張りをする方もぜひ参考にしてください。
●浸水を防ぐ水はけのいい場所
テントの設営場所には、水はけのいい芝生や砂利を選びましょう。水はけが悪い所だと、雨が降った時にテントの下に水が溜まり浸水する恐れがあります。雨が激しいと、テントが高い耐水圧を備えるものでも、浸水を避けられない場合もあります。
公園や河川敷などに設営する場合も、水が流れた後がある場所や窪みになっている場所は避けてポイントを決めましょう。
●ものが置きやすい平らな場所
設営場所の地面が平らであることも大切なポイント。テントの中に寝転がると、ちょっとした斜面でも気になってしまい、ぐっすり寝られません。さらに、背中や足が痛くならないよう、石ころや枝などをしっかり取り除くことも重要です。
また、テントサイトではチェアやテーブルを使用したり、火を使って調理することもありますが、地面が平らでなければテーブルやキッチンが傾いてしまい、安全性を確保するのが難しくなります。
安全にキャンプをするために、地面が平らな場所を選びましょう。
●適度に日差しを遮る木陰
特に真夏のキャンプでは、強い直射日光が照り付け、テントの中の温度が短時間で上昇します。木陰ができる場所にテントを設置すれば、直射日光を避け快適な環境で過ごせます。
ただし、木が1本だけ立っている場所は落雷の恐れがあるため避けた方が無難です。林間にある場所を選ぶと、風よけにもなり快適さが増します。
■テントを張る場所として不向きなところ

ここでは、テントを張るのに不向きな場所の特徴を解説します。テントの設営場所次第で、キャンプの快適性が左右されます。整備されているキャンプ場内でも、中にはテント設営に不向きな場所があることを覚えておきましょう。
●地形が不安定な場所(斜面や低地など)
斜面にテントを張ると寝心地が悪いだけでなく、使用するキャンプ用品が傾く恐れがあります。火を使って調理したり、テーブルや椅子などの大型のキャンプ用品を使用したりすることが多いキャンプでは、安全性を保つためにも斜面は避けたほうがいいでしょう。
また、低地は雨が降った際に水が溜まりやすいため、設営する場所には向きません。地形が安定していて、水がたまりにくい場所を選ぶようにしましょう。
●テントの破損の原因にもなる風の通り道
風が強く吹き抜ける場所を避けるのも大切なポイントです。テントをペグで固定しても、強い風にあたるとテントが破損する場合も考えられます。生地が薄い素材のテントは、風が強くあたるとバタバタと大きな音を立てるため、不安を感じやすく睡眠の妨げにもなるでしょう。
安心して朝までぐっすり寝るためにも、風の通り道は避けるのがおすすめです。
●落雷の恐れがある1本木の真下
日差しを遮るために木陰を選ぶのは効果的ですが、広い敷地に1本だけ大きな木が生えているような場所の真下に設営するのは避けましょう。悪天候時に木に雷が落ちるリスクがあり、非常に危険です。
木陰を選ぶ際は周囲の環境をよく確認し、安全に配慮した場所を選ぶことが大切です。
●増水の危険性がある川や海など水辺
暖かくなると、川辺へキャンプに出かける人も多いのではないでしょうか。一見穏やかに見える川でも、上流部分で雨が降ると水が流れて集まり、下流の水位がいきなり上昇する可能性があります。このような場合、撤収が間に合わず危険な状況に陥ることも。
特に中洲は増水時に孤立してしまう可能性が高いため注意が必要です。例えば、浅瀬で安全そうに見えても、増水で一気に水に囲まれることがあります。川辺でキャンプをする際には、増水のリスクを考慮し場所選びを慎重に行いましょう。
また、海岸では波打ち際にテントを張るのも心地が良いものですが、海は満潮になると増水します。潮が引いている時にテントを立てると、満潮に近づくにつれて浸水する可能性が高くなります。水難事故にもつながりかねないので、キャンプ地として整備された場所以外では、川や海の水辺は避けたほうがいいでしょう。
●大きな石が転がっている場所
大きな石がゴロゴロと転がっている場所は設営に向いていません。寝る場所として不向きですし、穴が開いたり裂けてしまったりする原因になる恐れがあります。
また、ランタンやカセットコンロなどの火を使う場合、バランスを崩すとテントに燃え広がり大きな火災になる危険性も。火を使う際は、安全性が確保されている平地を利用するのがいいでしょう。
■テントを張る場所選びの注意点

ここでは、テントを張る場所を選ぶ際に気をつけるべきポイントや、避けた方がいい環境について解説します。適切な場所にテントを設営し、安心してキャンプを楽しみましょう。
●周囲の騒音が少ない場所を選択する
トイレや炊事場などの近くは多くの人が行き交うため、テントでリラックスするには不向きな場所です。トイレは夜中に使用する人もおり、その度にテントの近くで人の気配がするのは避けたいもの。
炊事場は日中や朝に使う人が多い場所です。朝早く起きた人が炊事を始めると、食器や調理器具を使う音がテントの中まで聞こえてくる可能性があります。テントの中にいると思った以上に外の音が近くに聞こえるので、人の行き来が多い場所に近すぎるところは避けるようにしましょう。
●他のキャンパーとの距離感を考慮する
人気のキャンプ地には多くのキャンパーが集まります。お互い心地よく過ごすためには、隣のテントと3m程度の距離を空けて設営しましょう。
いいポイントだからといって、他のキャンパーに接近して無理矢理テントを張るのはルール違反。設営によさそうな場所を見つけたら、いち早くキープしておくのがおすすめです。
●虫が集まりやすい街灯付近を避ける
街灯付近は虫が集まりやすい場所です。虫が苦手な方は避けるのが無難でしょう。特に夜はテント内の明かりをめがけて虫が侵入しやすくなりますし、街灯に集まる虫の羽音が睡眠を妨害する可能性もあります。
キャンパーのなかには夜も光がある方が安心するという方もいるかもしれません。その場合は、虫の侵入を防ぐメッシュパネル付きのテントや虫除けを使用し、対策しましょう。
■キャンプ場でテントを張るのにおすすめの場所

ここでは、キャンプ場に限定して、テントを張る場所のおすすめのポイントを3つ解説します。ぜひ、最適な設営ポイントを探すのにお役立てください。
●景色のいい場所だと心地よさがアップ
キャンプの醍醐味は、自然の中で過ごすリラックスした時間。せっかくテントを張るなら、眺めのいい場所に設営したいと考える人は多いのではないでしょうか。朝日や夕焼けを楽しめたり、星を眺めたり、非日常空間を味わえる場所は人気エリアでもあります。ただし、見通しがよく周りに何もないような開けた場所は、気象の影響も受けやすくなります。日差しや雨風からテントを守ってくれる、適度な木々がある場所が最適といえます。
いい設営場所を確保するためには、キャンプ場に早く出向きキープするのがおすすめです。
●水場に程よく近いと調理がしやすい
トイレや炊事場などの水場が近すぎる場所は、人の気配が気になるためおすすめできません。しかし、この2つが遠すぎると使い勝手が悪くなるのも事実。水場から少し離れた場所にテントを張り、調理や洗い物のスムーズな動線を確保するといいでしょう。
ファミリーやグループで食器の洗い物が多く出そうな場合は、水場の近くに設営する方がストレスが軽減されることも。水場との距離を適切に保ち、テントを設営しましょう。
●地面が程よく固いとペグが打ちやすい
テントが風で飛ばされないようにするためには、地面にペグをしっかり打ち込む必要があります。地面が程よく固い場所は、ペグがしっかり刺さり強風時でも安心して過ごせます。一方、固い地面にはペグが打ちにくく、逆に柔らかすぎると安定して固定されません。
最初に足元の感触を確かめてから設営場所を選ぶといいでしょう。
■テントの試し張りにおすすめの場所

キャンプ本番で使用する前に、テントの試し張りをしたい方も多いはず。家の敷地に広げる場所を確保できない場合は、テント設営が許可されている河川敷や公園を利用しましょう。
なるべくペグが打ちやすい地面の固さの場所を選んで設営すると、キャンプ本番の練習にもなるのでおすすめです。芝生や砂利、乾いた土の上などの場所を選び、テントの中に入ってみて、快適性や居住性を確認するのもよいでしょう。
■テント設営に関するそのほかのポイント

最後に、テントを張る場所と設営に関するそのほかのポイントを3つ解説します。細かいところまで注意を払って設置すれば、ストレスなく快適に過ごせるテントが立てられますよ。
●テントの入口は風下に向けるのが基本
テントは、入口を風下に向けて設営するのが基本です。入口を風上に向けると、ドアを開けた際にテントの中に風が勢いよく入り込み、テントのバタつきや故障の原因になります。ペグの固定が甘ければ、強風に吹かれてテントが飛ばされる可能性も。
特に、風が強い日にキャンプをする場合は、安全性に大きく関わるため風向きのチェックを欠かさず行いましょう。
●ガイロープの長さを考慮して敷地を確保
テントの安定感を保つのに役立つガイロープは、テントやタープが風にあおられて転倒するのを防ぎ、雨がテントの周囲へうまく流れるように形を整えるためのものです。高さ2mのテントを設営する場合、約3mほどのガイロープがテントの周囲に張られます。テント設置場所を探す際は、ガイロープが適切な長さで張れる場所を確保しましょう。
使用時は、ガイロープに引っかかり転倒する恐れがあります。事故防止のためにも、ガイロープは目立つ色のものを選びましょう。
●昼と夜の気温差を考えるのも大切
キャンプ地によっては、日中と夜や早朝の寒暖差が大きい場所も存在します。キャンプ地へ向かう前に気象情報をチェックし、寒暖差に備えることが重要です。暑い空気は上、冷気は下にたまりやすいため、低地だと寒さに見舞われる可能性があります。
必要に応じて寝室の床に敷くマットや防寒用品を用意し、寒暖差に備えましょう。
■テントを張る場所のルールや場所選びをおさらい
テント設営の場所は、整備されているキャンプ場や設営許可がおりている公園、河川敷を選びましょう。空き地や農地は所有者がいることがほとんどなため、勝手に設営するとトラブルを引き起こす可能性があります。私有地にテントを設営する場合は、必ず所有者に許可を取るようにしましょう。
キャンプ場の中でも、テント設営に向いている場所と不向きな場所があります。安全性と快適性を兼ね備えた場所を選び、リラックスした時間を過ごせるキャンプサイトを作りましょう。