筆者は、ソロキャンプの多くの時間を結局のところ座って過ごしている。特に日没後は、焚き火のそばでアウトドアチェアに腰を沈めて、ゆっくりと流れる時間に身を任せることが多い。そのため、この遊びにとって椅子の選択は、その快適性を決めるうえで非常に重要なファクターだ。

 ここで、キャンプ用の椅子は、座面の高さからローチェアとハイチェアに分類される。一般的にローチェアとは、座面の高さが地面から30cm以内であり、一方でハイチェアは、座面の高さが40cm以上のものを指す。どちらを選ぶかについては、ソロキャンプ入門者にとってやっかいな問題でもあるだろう。

 本記事では、このような2種類のキャンプ用の椅子について、ソロキャンパーの視点から選び方を解説したものである。まずは筆者の失敗談から、この話を始めよう。

■筆者の失敗談|ハイチェアがキャンプギアにミスマッチだった……

ハイチェア、ローテーブル、ソロ用テントの歪な組み合わせの例(撮影:るあらび)

 ソロキャンプデビューにあたり筆者が最初に購入した椅子は、座面の高さが約45cm、全体の高さが約100cmのハイチェアだった。購入に至った経緯は、収納性の良さである。”小さく畳めるならソロキャンプ向きだろう”という、実に初心者らしい安易な発想であった。

 はじめてのソロキャンプでこの椅子を設置して、筆者は途方に暮れた。まず、テント前室にこの椅子を収めると、それだけで非常に窮屈なのだ。そのため、椅子の設置場所はテント外のオープンスペースとならざるをえず、これではプライベート空間を担保したい時に融通が利かない。

 また、テーブルとしては、いわゆるローテーブル、つまり、地面までの距離が10cm程度の低いテーブルを準備したのだが、ハイチェアにローテーブルが合うわけがない。実際にその日は、このハイチェアに座って腰をかがめながら、窮屈な思いで食事をせざるを得なかった。

 結局、筆者はそのあとローチェアを買いなおすことになるのだが、これは手痛い勉強代であった。

ハイチェアはソロ用テントの前室には大きすぎる(撮影:るあらび)
ハイチェアとローテーブルの組み合わせは、あまりに不自然だ(撮影:るあらび)

■ハイチェアはどのような人にお勧めか?

 大前提として、テーブルの高さに合わせるのが鉄則だ。ハイチェアは、地面から天板までの距離が長いハイテーブルに合わせることになる。また、椅子の高さによる制限から使用場所にも考慮が必要であり、オープンエリアに居住空間を構えたい人にお勧めだ。この観点からは、タープを日常的に使うソロキャンパーにとっては良い選択となるだろう。また、ハイチェアはその特性上、ゆったりと腰を深く沈めて座るタイプが多いことから、座り心地の良さとリラックス感を重視したい人にお勧めである。