ラフティングなど川下りでは北海道随一の激流コースで知られる「沙流川(さるがわ)」。しかし、激流となるのは4月後半から5月の中旬までの期間に限られ、雪解けの終盤になると浅い箇所が多く、大きなボートでの川下りが困難になる。

スタート地点。パックラフトなら車で近づけない場所へのアクセスも簡単だ

 そんな6月初旬、軽量でコンパクトなボート、パックラフトを持ち出し誰もいないひっそりとした沙流川へ。そこは今まで出会ったことないような深い渓谷の美しい景色が広がっていた。

■秘境! 日高山脈から始まる川へ

日高山脈は深く急峻な山々が並ぶ

 沙流川は、北海道唯一の山脈「日高山脈」が源流となる。日高山脈は北海道中央部から襟裳岬まで南北150kmにわたり連なり、鋭く尖った稜線「ナイフリッジ」と氷河地形の「カール」が特徴の険しい山々が集まる。沙流川もまた深い渓谷を流れる川で、限られたポイント以外、陸上からのアクセスが困難なまさに「秘境」と呼ぶにふさわしい。

 沙流川流域にはかつてアイヌの集落(コタン)も形成されており、下流域にある平取町(びらとりちょう)の二風谷(にぶたに)地区は道内有数規模のコタンが存在し、北海道の歴史を語るうえでも欠かすことのできない川であるといえる。