「ジャンダルム」とは、北アルプスの穂高連峰縦走路にある両サイドが切れ落ちた痩せ尾根の最難所のこと。標高3,000mを越える断崖絶壁に位置し、そこまでに至る道のりも長く、険しい非常にスリリングな難所で、いつかは歩いてみたい登山者たちの憧れの存在となっています。

立岩を目指す直登ルートからスタート

 日本各地には、この本家に準えて「ジャンダルム」と名付けられた難所が数多く存在します。西上州・大船山の南、西立岩を周回するルート上にある痩せ尾根も、その1つ。

 標高こそ1,000m少々ですが、本家よりもかなり手軽にアプローチでき(とはいえ、本格的な登山装備と経験は必須!)、適度にスリリングなアスレチック気分も楽しめます。短い中にもさまざまな景色が詰め込まれた贅沢ルートを歩いてみましょう。

■西上州らしい岩壁とルンゼが続く登山道

この名前、読めますか?

 スタートは線ヶ滝のすぐ上、登山口脇の無料駐車場から。公共交通機関はないため、マイカーか下仁田駅からタクシーでアクセスします。トイレやコンビニは近くにはないので、早めに済ませてきましょう。

 下から見上げるとよくわかりますが、山全体が巨大な岩であり、まさに“立つ岩”という名にふさわしいかっこいい山容です。

雑木林を抜けてすぐ、なかなかの急登が続く

 入山してすぐ、涼しげな沢の流れを渡ると、立岩に向かって雑木林の登りが続きます。次第に、登山道は徐々にゴロゴロとした岩が転がるザレ場→ルンゼへと変わっていき、迫力が増してきます。

 このあたりは浮石も多いので、後続に落石を落とさないよう注意しつつ、じわじわと詰めていきましょう。

迫力のある大岩壁
足場の狭い鎖場の通過は要注意。怖さを感じるようなら、ここで引き返そう

 ザレた急峻なルンゼに続いて、Jバンドの長い鎖場を抜けます。ここが、ルートの核心部。技術的な難しさはなく、足場が非常に狭いことに気をつければ問題なし。なかなかのアスレチック具合を楽しめるでしょう。ちなみに逆向きに歩くと、ここを下りに通過しなければならないので、上りで使える時計と逆回りに歩くのがおすすめです。

 この難所を抜けると、立岩のコルにたどり着きます。急登はここまでで終了なので、安心して一呼吸入れるといいでしょう。 

稜線に出ると西側の展望が広がる

 この先から山頂までは、危険なポイントはありません。のんびりとコルを回り、西側が切れ落ちた稜線に出ると視界が開けて、抜群の展望が広がります。西立岩の山頂はもうすぐそこです。