毛利氏36万石の城下町として栄え、高杉晋作や木戸孝允ら幕末に明治維新を担った人材を数多く輩出した山口県萩市。その萩市の日本海べりに「笠山」という標高112メートルの小さな山がある。

 この山は「日本最小の活火山」とも言われており、小ぶりながら火口もちゃんとある。そして、なんと火口の内部を歩いて見学できるのである。

 今回は、山陰の小さな火山の見どころと山頂から観られる絶景を紹介。松下村塾や萩反射炉といった世界遺産の歴史スポットにも触れたい。

■「笠山」とは

笠山の火口。遊歩道で下りることができる

 笠山は、萩市中心部から湾を隔てて北側に位置する山。なだらかな山容で、女性がかぶった市女笠(いちめがさ)に似ていることからその名が付いた。約1万年前の噴火で、スコリアと呼ばれるマグマのしぶきが降り積もって山ができたと言われている。

 一般に「日本最小の活火山」と称され、笠山を含む山口県北部一帯の火山体で構成する「阿武火山群」は気象庁が定める111の活火山に含まれている。

 同じ島根県の大根島も日本一低い火山島と言われることがある(最高地点の標高42メートル)が、活火山には指定されていない。111の山には海底火山も含まれているので、笠山の標高が最も低いわけではないが、一般的にイメージする火山の中では、笠山は最も低いと言って差し支えないだろう。

 国道9号から山頂まで車道が通っているが、道幅が狭いので注意が必要。バスならJR東萩駅より防長バスで越ヶ浜バス停下車。ツバキの群生林が広がる登山道を40分ほど歩くと山頂にたどり着く。