冬の北海道観光の醍醐味の一つとして不動の人気を誇る「流氷」。毎年1月下旬から3月末にかけてオホーツク海沿岸部では、流氷が織りなす絶景を楽しむことができます。道東にある紋別港から出港している流氷観光船「ガリンコ号」は、流氷が作り出す絶景の中を突き進み、大迫力のクルーズを体験させてくれます。
筆者は、以前旅行会社で「ガリンコ号」の乗船手配を行っていた経験があります。今回は、その「ガリンコ号」の歴史や魅力について、乗船の感想とともに紹介したいと思います。
■アルキメディアン・スクリューで流氷を粉砕して突き進む「ガリンコ号」
ガリンコ号の前身は、アラスカ油田開発のために三井造船によって建造され、1981年にはじめて進水しました。その後、実験船として1985年まで運用された後、観光船に改造され「ガリンコ号」と名付けられました。1996年には観光船としての役目を終了し、北海道遺産に認定されています。現在は「ガリンコ号Ⅱ」及び「ガリンコ号Ⅲ」が流氷観光船として運用されています。
筆者が乗船した観光船「ガリンコ号Ⅱ」は、150トンほどの小型の流氷観光砕氷船です。小型船であるがゆえ、海面間近で透き通る流氷を肉眼で見ることができました。また小型船のため、氷を砕く振動を身体で直に体感できるのも「ガリンコ号」の魅力。氷を砕く激しい振動を直接感じられ、感動を覚えました。
乗船していた方々も「振動が直に伝わってきてアクティビティ感があって楽しい!」「スクリューが氷を勢いよく削る光景を生で見ることができて本当によかった」などと、小型船ならではの流氷クルーズに感動されていました。
船内には自動販売機や売店があり、温かい飲み物や軽食を味わうことができます。食事をとりながら船内で流氷を楽しむのもクルーズ観光の楽しみ方の1つです。
ちなみに、ガリンコ号にはアルキメデスのねじの原理を活用した「アルキメディアン・スクリュー」が搭載されており、らせん型ドリルによって流氷に乗り上げ、船体重量で流氷を粉砕していきます。今回乗船されていた多くの方が「スクリューが勢いよく氷を粉砕していく様子は迫力があった」と話していました。