<前編をおさらい>

 焚き火に似合う缶詰といえば、「ポーク&ビーンズ缶」を忘れてはいけない。豚のバラ肉や挽肉をトマトソースで煮込んだ缶詰で、海外製のものが多く出回っている。中身を鍋にあけ、焚き火にかざしておくだけで、じつに雰囲気がいいのだ。

 ただ、多くのポーク&ビーンズ缶は味付けに砂糖を使っている。あの甘い味が個人的には苦手で、いつもトマト缶を足したり、赤唐辛子を加えて辛くしたりと工夫をして食べていた。

 そんな不満を、ある缶詰が解決してくれた。伊藤食品が手がける「美味しいトマト&ビーンズ食塩不使用」は、砂糖を一切使っていないのだ。それどころか塩も使っていないし、豚肉だって使っていない。

「んん? 豚肉を使ってないのなら、ポーク&ビーンズじゃないでしょ」と思うかもしれないけど、そんなのは些末なこと。自分で豚肉を足せばいいのだ(やや強引ですが、缶弁してください……)。

食塩不使用のトマト&ビーンズ缶。自分好みの味付けにできる

 おすすめの使い方は、まず「美味しいトマト&ビーンズ」の中身をクッカーにあけて加熱する。火が強いと焦げつくので、熾火の上に網を置き、その上でのんびり加熱する。そうして過ごす時間が、たまらなくいい。焚き火料理は待っている時間もごちそうであります。

豚バラ肉をスライス。ベーコンも可

 鍋の様子を見つつ、豚バラ肉をスライスして塩コショウしておく。好みのハーブを加えるのもいい。その肉を鍋に加えれば、晴れて「ポーク&ビーンズ」に昇格する。生肉を持参できない場合は、ベーコンやハム、ソーセージでも美味しくできる。

粉チーズをかければ缶成

 豚肉に火が通ったら、塩で味を調え、赤唐辛子で辛くして(寒さに対抗)、粉チーズをかければ(コクを出すため)缶成! この味付けはあくまでも一例だけど、自分好みの味にするために、こうしてチマチマと作業するのがすごく楽しい。

 この缶詰は、具に豆のほかモチ麦と押し麦が入っている。モチ麦はむちむち、押し麦はとろりと、それぞれ違う食感が楽しめるし、麦だから腹持ちもいい。よくできた缶詰だと思う。