■なぜ「うちぬき」は、美味しいのか

夏や冬でも水温が保たれるうちぬき

 「うちぬき」は、河川の流水が河床の地質や土質に応じて河床の下へ浸透し、水脈を保っている浅い地下水である「伏流水」。天然のろ過作用が水をきれいにしている。

 石鎚山系から瀬戸内海までの距離は短く、高低差が大きい。河川は比較的急流で水が淀まないので、水の味を悪くする成分が溶け込みにくいため、軟水で癖がなく飲みやすい。

 また、地下水の浸透区域から自噴地域までの距離が短く、地下にある時間が短いため、ミネラル分が溶け込みにくい。湧泉やうちぬき等によって常に地下水の揚水があるため、地下水の循環が促され、湛水が防止され、浄化作用が繰り返し行われている。自然、地形の恩恵でその美味しさは生まれているのだ。 

 伏流水である「うちぬき」は、年間の水温が13度ほどに保たれているという。1L中に含まれる成分量は、カルシウム3.4mg、マグネシウム2.7mg、ナトリウム10.4mgなどで、pH値は7.8と弱アルカリ性。カルシウムやマグネシウムが少ないため、まろやかな甘味がある一方、豊富なナトリウムが味に重量感を与えている。バランスの取れた美味しい軟水だ。