■水に囲まれた、安藤忠雄設計の「光明寺」

水に浮かぶような光明寺の本堂 http://www.koumyouji.com/

 次に、「うちぬき」をテーマに取り入れた建築を紹介しよう。水に浮かぶように建つ「光明寺」は、世界的な建築家である安藤忠雄の設計により、2000年に本堂などが新築され、現在では山門と鐘楼が以前の姿を残すのみ。直線を強調した印象的な木造建築の本堂は、周囲を「うちぬき」に囲まれており、まるで水面に浮かんでいるかのよう。水と木、コンクリートが美しく調和している。

■全ての作業に「うちぬき」を使う酒造

 西条市にはうちぬきを活用したアサヒビールの工場もあるが、ここでは酒蔵を取り上げる。「うちぬき」を酒造りに生かしているのが、1877年創業の成龍酒造。

 酒蔵の仕込み水も良い酒造りに欠かせない弱軟水の柔らかい水だ。酒造りだけでなく、酒造機器の洗い物を始め、蔵の中で使用する全ての作業に使っているという。

 低温熟成させてうまみを増幅させた酒「伊予賀儀屋」は、食事をしながら飲むことを意識して造られた酒。料理との相性を追求したすっきりとした繊細な味わいで、無濾過仕上げらしい酒本来の味わいもしっかり感じられる。

「うちぬき」を酒造りに生かしている、1877年創業の成龍酒造 https://www.seiryosyuzo.com
「うちぬき」や地元の素材を使った成龍酒造の代表的な酒 https://www.seiryosyuzo.com

 「水は美味しい」ということを改めて教えてくれる、名水「うちぬき」。霊峰石鎚山の眺めとともに、自然の恵みが生み出す名水を旅してみてはいかがだろう。