「みちのく潮風トレイル」を知っていますか?

 ロングトレイルに興味のある方なら既に歩いたことがあるかもしれません。けれど、「なんとなく聞いたことはあるけれど......」という方、あるいは初めてその名前を耳にした方のほうが多いことでしょう。

 実はこのトレイル、コアなロングトレイル好きから体力にあまり自信のないハイカーまで楽しめる、たくさんの魅力が詰まったオススメのトレイルなのです!

■他のロングトレイルとはひと味違う

青森から福島まで,沿岸部をつなぐロングトレイルの全容。要所要所に見どころが

 2011年の東日本大震災の津波によって甚大な被害を受けた東北の太平洋沿岸地域。震災からの復興と震災の記憶の継承、そしてロングトレイル文化を日本に根付かせることを目的に、環境省が2012年に「みちのく潮風トレイル」の基本計画を策定。関係自治体と民間団体、地域住民の方々が協働で計画や整備を続け、ついに2019年6月に全線開通しました。

 北は青森県八戸市から南は福島県相馬市まで、4県28市町村をつなぐその全長はなんと1,000km以上! そのスケールに圧倒されてしまいそうになります。

岩手県・大船渡市中南部ルートの名勝、碁石海岸の穴通磯

 でも、このトレイルの特徴は「距離」だけではありません。

「海のアルプス」とも称される三陸海岸北部の勇壮な断崖や、南部の複雑に入り組んだリアス海岸の美しさ、そこに息づくたくさんの動植物といった自然の魅力はもちろんですが、その半面、海岸沿いの街なかを歩くエリアも多いのです。

 街なかエリアでの大きな楽しみは、なんといっても盛りだくさんの「食」! 豊かな森と海に育まれた新鮮な海産物、東北の歴史や風土が育んだ伝統料理から、地元の食材を活用した創作料理やB級グルメを出すお店まで、選ぶのに苦労することは間違いありません。(ただし、誘惑に忠実過ぎると、その後のトレイル歩きに大きく影響するので要注意!)

三陸の豊富な海の幸を食べずして「みちのく潮風トレイル」は語れない!?

 街歩きでは、地元の人との触れ合いにも心が踊ります。

 トレイル沿いには、みちのく潮風トレイルやハイカーを応援しているお店も多く、たくさんの笑顔でもてなしてくれます。そればかりでなく、お店や漁港などでたまたま出会った人や沿道の家の方に声をかけられて話が弾むこともしばしば。トレイルを歩いているにもかかわらず「車で送ってあげるよ!」なんて申し出てくれる人も(笑)。そんな人たちと出会ってしまったら、このトレイルを好きにならずにはいられません。

地元にとってもハイカーにとっても大切な足となるBRT(バス高速輸送システム)