4月に入っても、北国や高い山の上にはまだまだ雪が豊富に残っている。日も長く暖かい春は、バックカントリースキーツアーの本番シーズンだ。ただ、長いルートは天候などのコンディションに大きく左右される。体力や滑走・歩行技術も求められる。そんなとき、気負わずに短時間で楽しめるフィールドがあれば、とても重宝するのでは!? 歩行はわずか、滑走も満足できるまで繰り返し楽しめる。しかも景色も魅力! それが野沢温泉スキー場からアプローチする青木山だ。

■緩やかに起伏する明るいブナ林。なだらかな山頂は展望も良し!

毛無山を背に青木山に向かってのんびりと登る

 麓では桜と菜の花が咲き誇る頃、野沢温泉スキー場は、春スキーに訪れる人々で大いに賑わっていた。ここ数日、寒の戻りで冷えた日が続いていたおかげで、スキー場の中腹より上はうっすらと雪化粧している。ゲートを抜け、賑わうゲレンデを後にして森の中へ。まずは青木山へ向かって滑走を開始だ。

 スタートから滑れるのは嬉しいが、雪質がわからないのでゆっくりと慎重に滑り降りていく。緩やかな南東向きの斜面は、厚さ10cmに満たないほどの新雪に覆われ、春の日差しに輝いていた。毛無山と青木山の鞍部から続く広い沢に出る。ここからは15~20分ほどのハイクアップで青木山山頂に到着する。あいにく低い雲が周囲を囲んでいたので遠景は望めなかったが、すっきりと晴れた日なら展望が楽しめるスポットだ。なだらかに広がる北信越の山並み、妙高山や遠く北アルプス。さらに日本海まで見ることができる。

■新雪なら北斜面。ザラメ狙いは日当たりの良い南寄り斜面を狙おう! 

新雪なら北斜面。ザラメ狙いは日当たりのいい面を狙って

 西向き(急)以外は程よい傾斜と樹間の斜面が揃っていて、コンディションに合わせて選べるのが青木山一帯の特徴だ。当日は10cmほどだが新雪が積もっていたので、冬同様に真北を向いている斜面をチョイスして滑走した。新しい雪の下にはすぐに硬い雪面があるのだが、程よい反発を生んでくれる。ブナの枝影が伸びる白い雪面にターンを刻むのは、久々の感覚で気持ちいい。沢地形もなだらかで広いので立体的に滑りたい人にはおすすめだ。ザラメ狙いなら、まずは南寄りの斜面から狙って滑るのがいいだろう。

林道から青木山の斜面を振り返る。春は太陽が高く、昼間は北斜面にも光がしっかりと当たる

 青木山周辺は、南から東、北へとぐるりと林道が走っている。標高差100mあまりを滑ったら合流するので、現在地がわかりやすい。このあたりは沢もなだらかで、地形を生かして立体的に滑るにももってこいだ。登り返しては滑ってを満足いくまで繰り返す至福のひとときだ。帰りは林道を辿ってスキー場に合流する。

■快適なゴンドラで一気に上がる。入山は必ずアクセスポイントのゲートから!

新・長坂ゴンドラは快適そのもの。景色を楽しみながらの約8分の遊覧!

 今シーズン架け替えられた「長坂ゴンドラリフト」で一気にスキー場上部エリアへ。10人乗りの窓の広いキャビンは視界も良く、座り心地のいいレザーシートで快適そのもの。不快な振動もなく、約8分、あっという間に標高1417mの「やまびこ駅」に到着する。麓は春でもこの辺りまだまだ積雪量は豊富で、その違いに驚かされる。まずは「やまびこ第2フォーリフト」に乗ってゲレンデを滑り「やまびこフォーリフト」へ。2つのチェアリフトを乗り継いで、スキー場トップの毛無山、標高1650mまで上がる。

入山ゲート。やまびこフォーリフト山頂左寄りアクセスポイント(やまびこAコース最上部)

 スキー場から外に出るときは、必ずアクセスポイントのゲート、やまびこフォーリフト山頂左寄りアクセスポイント(やまびこAコース最上部)または、やまびこフォーリフト山頂右寄りアクセスポイント(やまびこDコース上部)より入山する。それ以外のところからのアクセスは厳禁だ。自分が良くても他の人が真似して入るようになってしまうと、混乱や遭難事故の要因となってしまう。入山届けも必ず出して。最低限のルールなのでしっかりと守ろう。比較的手軽に楽しめるフィールドだが、そこは自然の雪山。内包するリスクは同様だ。スキー場の管理区域外だということをくれぐれも忘れずに。

※取材撮影日:2021年4月11日


野沢温泉スキー場〔バックカントリーを楽しむ皆様へ〕
https://nozawaski.com/report/4227/

青木山周辺の地形図。国土地理院地図