■標高差1,350mを一気に登り、穂高岳山荘へ
2日目、7時ごろに横尾山荘を出発。横尾谷に沿って樹林帯の道を行く。谷の対岸には巨大な屏風岩がそびえている。本谷橋から急登となり、ダケカンバの林のなかをジグザグに登っていく。このあたりの木々には色づいた葉がまだ少し残り、紅葉を楽しむことができた。
しかし、青ガレやSガレ付近まで来ると、ナナカマドやイタヤカエデはほぼ葉を落としていた。冬の積雪の重みで同じ方向に傾いた幹だけが登山道の両側に立ち並び、「秋の終わり」を感じさせる風景が広がっていた。
順調なペースで登り、9時30分ごろ涸沢に到着。涸沢ヒュッテでは小屋閉めの準備が進められており、テラスの外売店はすでに撤去されていた。紅葉の最盛期には1,000張近い(多い年には1,000張以上!)のテントでにぎわう野営場も、数張りのテントがぽつんぽつんと立っているだけだった。
涸沢からはヘルメットをかぶり、まずはザイテングラートの取付をめざす。日が高くなるにつれて頭上には青空が広がり、峨峨とした頂上稜線もひときわ引き立って見えた。
ザイテングラートの急登は足元に注意しながら慎重に登っていく。登山者が多い時期だと道が細くなったところやハシゴ、クサリ場などでのすれ違いに気を遣うが、この日は2組の登山者が下ってきただけだった。途中、振り返ると、眼下には広大な涸沢カールが広がり、梓川の対岸の常念岳や蝶ヶ岳も遠望できた。