東京や京都などの都市部では、紅葉の見頃は11月から12月にかけてです。ところが、山では10月にはすでに紅葉の見頃を終えている場所もあります。
日本一早い紅葉で知られる北海道の旭岳をはじめ、北東北の秋田駒ヶ岳や焼石岳などでは、10月上旬にはすでに紅葉のピークを過ぎています。それでも、せっかくの秋。10月中旬以降も、山で紅葉を楽しみたいですよね。
しかし、この時期の有名な紅葉スポットはどこも混雑しがち。せっかく美しい景色を見に行くなら、人混みを避けて、ゆっくり紅葉を楽しみたいところです。
そこで今回は、10月中旬以降でも紅葉を楽しめる山の中から、比較的混雑を避けやすく、秋の山歩きをじっくり楽しめる5つのスポットを紹介します。
◼️新潟県・粟ヶ岳
まず紹介したいのが、新潟県の粟ヶ岳です。
標高は1,293mとそれほど高くないため、高山の紅葉が終わった10月中旬以降でも、紅葉を楽しめる山のひとつです。日本三百名山に選ばれているものの、全国的に知られた紅葉名所と比べると登山者は少なく、地元の方を中心に親しまれています。
粟ヶ岳登山口から山頂までの往復は約7時間。標高差もかなりあり、決して手軽な山ではありませんが、その分、紅葉シーズンでも比較的ゆったりと山歩きを楽しめます。
稜線に出ると景色が一気に開け、黄色、オレンジ、赤、茶色と、さまざまな色が重なった紅葉の絨毯が山肌いっぱいに広がります。背の高い植物が少ないため、周囲の山々や眼下の町まで見渡せるのも魅力です。
私自身、紅葉を楽しみに訪れた山でしたが、実際に目にした景色は想像をはるかに超えました。あまりにも美しい紅葉の絨毯に見入ってしまい、山頂からなかなか離れることができなかったほどです。
◼️甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根
紅葉を楽しむルートとして、名前が挙がることはないかもしれませんが、ぜひおすすめしたいのが甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根です。
黒戸尾根は累積標高差約2,300m、コースタイム約16時間にも及ぶロングルートで、日本三大急登のひとつとしても知られています。気軽に歩ける登山道ではありません。甲斐駒ヶ岳で紅葉を楽しむなら北沢峠からのルートが一般的ですが、私はあえて紅葉スポットとして黒戸尾根をおすすめします。
私が歩いたのは11月上旬。雪をまとった甲斐駒ヶ岳を目指し、1泊でこの長い黒戸尾根を歩くことを楽しみにしていました。
ところが、登山口を出発して間もなく、見上げた先に広がっていたのは、青空に映える真っ赤な葉やオレンジ色の紅葉でした。歩いても歩いても鮮やかな紅葉が続き、長く険しいはずの黒戸尾根を、苦しさを忘れるほど楽しく歩くことができました。
この時期は上部で積雪や凍結が始まるため、甲斐駒ヶ岳山頂まで行かず、七丈小屋までの往復で紅葉を楽しむのもひとつの方法です。私自身、本州でこれほど鮮やかな紅葉を見たことがあっただろうかと思うほど、忘れられない景色となりました。
◼️奈良県・曽爾高原
3つ目に紹介したいのは、奈良県の曽爾高原(そにこうげん)です。
ここは一般的な「紅葉の山」とは少し異なります。日本三百名山の倶留尊山(くろそやま)の登山口でもある曽爾高原は、関西を代表する絶景スポットとして知られ、秋には一面のススキを目当てに多くの人が訪れます。
私が訪れたのは12月。倶留尊山を目指して歩いたのですが、登り始めてすぐに目を奪われたのが、黄金色に輝くススキの原と、その奥に広がるお亀池でした。お亀池周辺には湿原が広がり、空や周囲の景色を映し込む水面も美しく、紅葉とはまた違った秋の魅力を感じられます。
人気観光地なので「穴場」とは言えませんが、ぜひ高原の中を少し上まで歩いてみてください。下から眺めるだけでは分からない、ススキに囲まれた高原とお亀池、そして青空がつくる開放的な景色を楽しめます。
紅葉が終わった後も、こんなふうに秋を感じられる場所があるのです。