■復活のアイドル! ライチョウを探して
紅葉やアルプスの絶景はもちろん、木曽駒ヶ岳の楽しみといえばライチョウとの出会いだろう。2025年の調査によると、中央アルプスでは標高2,700m以上のエリアに約190羽が暮らしているとのこと。中央アルプスのライチョウは約50年前に一度絶滅したとされているが、2015年頃に北アルプスから1羽の雌のライチョウが飛来したのをきっかけに毎年繁殖が確認され、最近では登山道周辺でもその愛らしい姿を見ることができるようになった。
この日も中岳から木曽駒ヶ岳への稜線上や山頂付近で耳を澄ますと「ガーガー」「グーグー」といった鳴き声が聞こえていた。実は筆者、これまで北から南までアルプスを何度も登っているが、ライチョウを見たことがない。
「今日こそは!」と足を止め、鳴き声のするハイマツ帯や岩陰を注意深く探していると、茶色い塊のようなものが動いたように感じた。目を凝らし、その場所を見ていると、ひょこっと顔を上げ、草紅葉の中、エサをついばんで歩くライチョウの姿が! 夢中になって写真を撮っていると、ファインダーの中のライチョウがどんどんアップになってくる。しばらくすると、エサを探すのに夢中だったのか、足元までライチョウが歩いてきて、何事もなかったかのように通り過ぎて行った。
間近で見た初めてのライチョウに感動! なんとこの日は、道中から山頂まで計6羽のライチョウに出会うことができた。これまで一度も見られなかったのが嘘のような大盤振る舞いに、終始うれしい気持ちで歩いていた。
■スリリングな岩稜「宝剣岳」へ
「もう少し高山の絶景を楽しみたい!」と、宝剣山荘まで戻り「宝剣岳(ほうけんだけ・2,931m)」にチャレンジ。千畳敷駅から見上げていた急峻な岩峰が宝剣岳であり、見た目の通り、岩場と鎖場の険しいルートが続く。コースも絶景…… というか崖の下までよく見える。鎖を持つ手には汗が滲み、足のかかりを確認しながら一歩一歩進んでいく。しかし、難コースを抜けた先には、ここからしか見られないご褒美が待っていた。
眼下には千畳敷カールの紅葉が絨毯のように一面に広がっている。「千畳敷カール」といえば千畳敷駅周辺からの景色を思い浮かべるが、ここからの景色も負けていない。登らないと見られない景色だ。
■一度は行きたい! 中央アルプス最高峰の秋の色彩
2025年は「10年に1度の紅葉の当たり年」と言われた木曽駒ヶ岳、千畳敷カールの紅葉。その年、その時にしか出会えない景色があるのが自然の魅力だ。今年はどんな景色に出会えるだろうか。ぜひ、あなただけの絶景を探しに出かけてみよう。
なお、紅葉シーズンは平日休日問わずたくさんの人が訪れるため、バスやロープウェイ、登山道も混雑する。「帰りのロープウェイに間に合わなかった」ということがないように、余裕をもった登山計画を立てておこう。
また、10月の木曽駒ヶ岳は日中でも15℃程度、冷え込むと氷点下になることもある。登山装備はもちろん、防寒対策は必須だ。コースも遊歩道から本格的な登山道まで、難易度には差がある。特に今回触れた宝剣岳は滑落や転落の危険も伴う岩稜ルートで経験者向き。初級・中級の登山者は千畳敷カールの散策や木曽駒ヶ岳の往復をメインにした計画を。事前にコース情報を確認したうえで、無理なく楽しみたい。
※紅葉情報や、路線バス、ロープウェイの運行状況などの最新情報は中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイホームページをご確認ください。 https://www.chuo-alps.com
【交通アクセス】
木曽駒ヶ岳は自動車、高速バス、電車でのアクセスが良好。自動車の場合は、路線バスへの乗り換え場所の菅の台バスセンター駐車場まで中央自動車道・駒ヶ根ICから約3分。駐車場は約300台駐車可能(有料)。
高速バスの場合は、中央自動車道駒ヶ根ICまたは駒ヶ根バスターミナルで路線バスに乗り換え、駒ヶ岳ロープウェイしらび平駅まで約40分。
電車の場合は、JR飯田線・駒ヶ根駅で路線バスに乗り換え、駒ヶ岳ロープウェイしらび平駅まで約50分。
●【MAP】木曽駒ヶ岳
【千畳敷駅~木曽駒ヶ岳~宝剣岳周回コース】所要時間
千畳敷駅(0:00)→ 乗越浄土(0:50)→ 宝剣山荘(0:55)→ 中岳(1:15)→木曽駒ヶ岳(1:45)→ 宝剣山荘(2:25)→ 宝剣岳(2:50)→ 三ノ沢分岐(3:30)→ 極楽平(3:40)→ 千畳敷駅(4:05)
歩行距離:約4.2km
累積標高差:登り 503.8m、下り 503.8m
合計所要時間:4時間5分