蛾やムカデが苦手な筆者にとってキャンプの楽しさを半減させるのが、どこからともなく現れる虫たちである。しかし、そんな厄介者についても、少しのことを知っているだけで、意外と面白く感じられるものだ。
本記事では、思わず誰かに話したくなる生き物にまつわる豆知識を紹介する。知っているだけで、次のキャンプが少し快適で、さらに楽しくなるはずだ。
■コオロギの鳴き声は自然の温度計になる

コオロギの鳴き声には、実は秘密がある。コオロギは気温が高いほど活発に鳴き、鳴き声の間隔も短くなるのだ。逆に、気温が低くなると動きが鈍くなり、鳴く回数も減っていく。
アメリカの物理学者が考案した「ドルベアの法則」というものがある。これは、コオロギの鳴き声の回数を数えると、おおよその気温がわかるという法則である。この法則を日本にいるコオロギに適用できるようにアレンジしたものがいくつか考えられている。そのうちの一説によると、鳴く回数を15秒間数え、それに8を足し、5をかけ、9で割るという方法で気温が算出できるようだ。鳴き声の回数を数えることで、そのときのおおよその気温を予測できる。
例えば、15秒間で37回鳴いたときは(37+8)×5÷9=25となり、おおよそ25℃くらいの気温だとわかる……らしい。
実際にやってみると意外に正確で、2~3℃の誤差であった。ただコオロギの鳴く回数を数えるのが難しく、何人かで行うと人によって少しずつ計算が違ってしまった。コオロギの種類によって鳴き方もさまざまなので、そのあたりも気になるところではある。ちょっとした自然の温度計として面白いので、一度試してみるのも一興である。
■カエルの合唱を楽しむ

梅雨時や水辺の多いキャンプ場では、カエルの合唱を耳にすることが多い。実は、この鳴き声を響かせているのはほとんどがオスのカエルである。鳴くのは、縄張りを主張したり、メスに自分の存在をアピールしたりするためだ。
また、カエルの種類によって鳴き方が違うのも面白い点である。都会では聞けない珍しいカエルの声に出合えるのは、自然豊かなキャンプ場ならではの楽しみだ。夜のテントの中で耳を澄ませて、何種類のカエルがいるのか、鳴き声の違いを探してみるという楽しみ方もある。
■蚊は35℃以上では活動できない

キャンプの悩みの種といえば、蚊の存在である。虫除けスプレーや蚊取り線香を用意しても、完全には防げないことも多い。しかし、蚊には意外な弱点がある。それは「暑さ」だ。
蚊は25~30℃で活動が活発になる。気温が35℃を超えると活動が鈍くなり、刺されにくくなるといわれている。また、焚き火の煙は蚊を遠ざける効果があるため、夜の焚き火は蚊の対策としても有効だ。蚊の習性を知り、対策することで、快適にアウトドアを楽しみたいものである。
■自然の音に耳を澄ませて、特別な時間を
キャンプ場で出合う生き物たちは、少し注意を向けるだけでさまざまなサインを送ってくれている。コオロギの鳴き声で気温を知り、カエルの声に耳を澄ませ、焚き火の煙で蚊を遠ざける。そんな小さな知識を知っているだけで、いつものキャンプがより深く、特別な時間になるはずだ。自然の中だからこそ味わえる生き物の不思議と音を、ぜひ楽しんでほしい。