■苗場山の山頂付近の湿原で浮かぶように群生する「ワタスゲ」

新潟県と長野県にまたがる標高2,145mの苗場山(なえばさん)は、山頂付近が約700ha(ヘクタール)にも及ぶ広大な湿原が広がる山だ。東京ドームが約1haのため、700個分にもなると考えるとその広さが想像しやすい。
筆者が訪れたのは6月の下旬。梅雨の時期だったが、その日の天気予報は晴れだった。しかし、山頂に到着した時には霧に覆われ眺望はゼロ。そんな中、湿原に浮かぶように白いものが群生しており、幻想的な景色が広がっていた。

白いポワポワとした状態のワタスゲは、花が咲いた後に綿毛を付ける。ワタスゲは大群生を作ることが多く、条件が重なれば幻想的な景色を見ることができるだろう。
■苗場山へと向かう途中に咲き誇る「ニッコウキズゲ」
苗場山へと続く祓川(はらいがわ)登山口から苗場山を目指した。その道中、霧に包まれる前の神楽ヶ峰(かぐらがみね)付近で見たのが「ニッコウキズゲ」だ。

しっかりとした黄色い花を咲かせるニッコウキスゲは、緑とのコントラストがすばらしく、登山道の周りを彩ってくれていた。
梅雨で眺望を楽しめなかったが、足元の高山植物が登山を楽しいものに変えてくれたのだ。
登山の魅力はなんといっても山頂や道中から望む景色であるが、足元には色とりどりの花が楽しませてくれる。雪解けと共に開花する高山植物をお目当てに次の山行計画を立ててみてはどうだろうか。