岐阜県北部、山地である飛騨にも新緑の季節が訪れ、あっという間に緑が濃くなってきています。自転車を漕いでいても気持ちのいい季節ですね。
そんななか訪れたのは、岐阜県高山市の東にある峠道のグラベルロードです。峠の名前は「旧美女峠」です! なんだか惹かれる名前ですが、果たしてどんな道が待っているのでしょうか……。
■どこでも走れる!? グラベルバイクとは

今回、移動手段には“グラベルバイク”を使いました。自転車の一種ですが、比較的新しいカテゴリーで耳慣れないかもしれません。
グラベル=砂利道。ざっくりと説明するとロードバイクの車体に太くてゴツゴツしたMTB用のタイヤを履いているイメージです。舗装路(オンロード)でも未舗装路(オフロード)でも快適に走行できる自転車といったところ。乗り方次第ではどこでも走れてしまう自由さがあります。
元々はヨーロッパで生まれ、アメリカで人気に拍車がかかりました。荷物をたっぷり搭載しての“バイクパッキング”、ロングライドの自転車旅に使用されたりもします。
■ほとんど登山! 「旧美女峠」へ

飛騨地方の中心である高山。江戸時代に整備された高山陣屋と江戸を結ぶ「江戸街道」の最初の山越えの峠が旧美女峠です。その後、野麦峠を越えて信濃路となり、中山道を経て鎌倉、江戸へ繋がっていました。気になる名前ですが、この地に伝わる八百比丘尼(やおびくに)の伝説からこう呼ばれるようになったという説があります。


高山の街から東へ5kmほど走って山口町へ。しかしなかなか入口が見つからず右往左往します。ようやく江戸街道の道標を発見して山中へと入りました。走り出した頃は整備された林道でしたが、やがて軽トラくらいしか走れなさそうな未舗装路に。しかし快適なグラベルロードは登るにつれ荒れていきます。日向は生い茂る草や杉の葉でタイヤの転がりが悪く苦戦し、日陰は泥濘でスリップして効率が悪く、結局バイクを押しながら歩きます。倒木も何か所か道を塞いでおり、さらに崩壊しているところも。
やがて遊歩道に合流しましたが、散開している枯れ枝がスポークに絡まってこれまた難路です……。“風薫る”というのにふさわしい、5月の爽やかな風が慰めるように涼しいのがせめてもの救いでした。


そんな訳でバイクを押したり担いだりしながら進んでいくと、「茶接待所跡」へ到着しました。この辺りが旧美女峠となります。祠のほかに道を挟んでトイレと東屋やテーブルとベンチがあります。その南側にはまるで牧場のような広々とした草原が広がっていました。ちょうどこのタイミングで頭上は青空となり、草っ原に寝転んで大休憩です!