⚫️富士の青木ヶ原樹海を貫く「東海自然歩道」
民宿村の端から端まで歩き、ちょうど反対側に東海自然歩道への入口がある。このあたりから、 本格的な樹海の森らしくなってくる。

青木ヶ原樹海の発祥は、平安時代にさかのぼる。富士山の貞観大噴火で膨大な量の溶岩が流れ込み、樹木も何もかもが焼きつくされた。冷えた溶岩は地面のそこらじゅうに空洞をつくり、やがてその上に針葉樹や広葉樹が生え、千年以上もかけて今のような奇怪な景観を作りだした。
デコボコの岩と、その上をくねるように這い回る樹木の根、さらにその上に苔がびっしりと生えて、いったいどこに地面があり、どこに穴が開いているのかは容易にわからない。 いったん道から外れて入り込むと、歩くのも非常に厄介である。方位磁石の効きはどうなのかはわからないが、自殺志願者が樹海の奥に入り込んでしまうと捜索さえ難しいというのは、この複雑怪奇な地形に理由がある。

森の中の開けた場所に出た。別の登山道と十字に交差している。富士山の精進湖口登山道だ。ここから富士五合目まではコースタイム7時間。さらに頂上までは5時間あまり。ものすごく長大な富士登山ルートである。五合目までクルマで行ける時代に一合目から歩いて頂上を目指す人はほとんどいないだろう。十字路に佇んでいる古びた社が、その長い歴史を感じさせてくれる。
樹海の道をさらに進む。併走している国道139号と距離が近くなり、ときおりクルマの音が聞こえるようになる。ちょっとうるさい。
十字路から1時間30分ほど歩けば、富岳風穴の道しるべが現れる。まっすぐ進んで風穴を観光するのもいいし、駐車場の道しるべ通りに進んでそのままバス停に出ても良い。 バス停の横には売店があって、外国人観光客がソフトクリームを舐めている。いままでの 異世界とは打って変わって、平和で賑やかな下界に引き戻された。
【歩行タイム】 3時間ぐらい。
【難易度】 レベル1 = 誰でも楽しめる初心者向けコース。
【高低差】 登り下りはほとんどなく平坦。
【足まわり】
精進湖民宿村の中を除けば舗装道はなく、すべて登山道なので登山靴推奨。
【オススメの季節】
春から夏、秋まで。樹海の道は標高1,000mぐらいあり、
真夏でもそこそこ涼しい。