■【上級者コース】謎の山寺、燈明寺

謎の山寺、燈明寺
荒木城跡から燈明寺へ(国土地理院地図より引用)

 ここからは上級者コースなので、登山を始めて間がない人にはおすすめできないルートだ。

 荒木城跡から一つ谷を挟んだ東側に燈明寺山(とうみょうじやま・標高461m)という山がある。実はこの山、燈明寺という謎の山寺が存在することで知られている。燈明寺は無人の山寺で、歴史も不明、宗派も不明。国土地理院地図にある南北の参道も、筆者が現地で調べた限りではすでに消滅しており、まったく正体不明の山寺なのだ。

荒木城跡南側の曲輪から燈明寺へ向かう。ルートの入口からわかりづらい
燈明寺へのルート。道標のテープすらないが、尾根道は比較的わかりやすい
誰かが手入れしているのか?  とてもきれいな燈明寺境内

 燈明寺には荒木城跡から尾根伝いに縦走すれば何とかたどり着ける。しかし、このルートは上級者コースであり、中級者以下にはおすすめしない。なぜなら案内板がないのはもちろん、道標のテープもほぼなく、荒れていて道の踏み跡もわからない箇所が多いからだ。このルートを行くには、読図技術が必須である。

コンクリート仏像っぽい不動明王
燈明寺本堂裏の穴の中にあったやたらと白いコンクリート仏像っぽい不動明王
燈明寺山門にある「丹波山上」の石柱

 さて現地に到着した筆者は、燈明寺の正体を探るべく、素人なりの現地調査を実施。まず燈明寺の本堂はかなり傷んでおり、近づくのは危険そうだったので調査対象から除外した。境内にはコンクリート仏像が何体か存在する。「昭和19年」と刻まれているものもあった。本堂にはブリキのバケツが転がり、かつて建物があったと思われる境内脇の平地には、コンクリートの遺構や八木アンテナの残骸も残っていた。

燈明寺境内だけ見ると、到達困難な場所とは思えない雰囲気だ
「昭和19年」と彫ってあった燈明寺の仏像
八木アンテナの残骸などが残る、かつて建物があったと思われる燈明寺境内脇の平地

 これらから推測できたことは、「1970年代前後には、まだ無人になっていなかっただろう」ということだけ。素人調査の限界だ。

 なお境内は荒れておらず、とてもきれいな状態であった。境内脇の平地の荒れ具合から推察するに、誰かが定期的に燈明寺の手入れをしていると考えられる。しかし、燈明寺参道は筆者が歩いて探した限りでは消滅しており、寺に通うのは容易ではない。燈明寺の謎は深まるだけであった。

■荒木城跡への行き方

荒木城跡駐車場

 公共交通機関を使う場合、神姫バス丹波細工所停留所から荒木城跡登山口まで徒歩7分(450m)で到着する。丹波細工所停留所まではJR篠山口駅から神姫バスに乗り、篠山営業所で乗り換えて40分程度である。

 車で訪れる場合は、荒木城跡登山者専用の無料駐車場があるため安心だ。

 登山口付近にはコンビニもあり大変便利だ。神姫バス丹波細工所停留所から200m(徒歩3分)、登山口からは300m(徒歩5分)とかなり近い。

 荒木城跡は短時間で登頂でき、眺望もよく、歴史的背景も興味深いスポットである。歴史探訪を楽しみたい方はぜひ訪れてみてほしい。

 

●【MAP】荒木城跡

●【MAP】荒木城跡登山口

●【MAP】荒木城跡駐車場

●【MAP】燈明寺

●【MAP】神姫バス 丹波細工所停留所