アルプスなどの高い山から望む雄大な景色は魅力的だが、標高の低い山にも違った魅力がある。アクセスにかかる時間が短縮できたり、短時間の行動で自然を感じることができる。
今回は、清八山(せいはちやま・標高1,593m)、本社ヶ丸(ほんじゃかまる・標高1,631m)と三ツ峠山を結ぶ登山ルートを紹介したい。それぞれの山から見る景色は富士山を際立たせてくれる自然の演出があり、楽しむことができるだろう。
危険箇所はなく、道迷いの心配もないコースのため、安心して歩くことができる。アップダウンを繰り返しながら約6時間15分で周回するコースは歩きがいも感じられるはずだ。
■三ツ峠山登山口から清八山・本社ヶ丸へ「松の木の演出が富士山を際立たせる!」
山梨県の大月市にある清八山、本社ヶ丸は秀麗富嶽(しゅうれいふがく)十二景に選定されている山で、富士山の眺望を楽しむことができる。
今回紹介するコースの起点となるのが三ツ峠山登山口だ。ここから清八山、本社ヶ丸へとめぐり、尾根沿いを歩いて御巣鷹山(おすたかやま・標高1,775m)を経由し、三ツ峠山へと登る。距離は約9.6km、所要時間はおよそ6時間15分。十分に日帰りが可能なコースではあるが、日が暮れるまでに下山するため、行動は早めに開始したい。
三ツ峠山登山口から林道を通り、大幡八丁峠(おおはたはっちょうとうげ)を目指す。林道の勾配はそれほど急ではないが、眺望はなく単調な樹林帯が長く続く区間だ。退屈になりがちだが、筆者が訪れた時は二度ほどリスが姿を見せてくれ、野生動物を探しながらの山歩きが楽しめた。大きな木の上を走る姿を探していると、あっという間に大幡八丁峠に到着できる。
大幡八丁峠で林道は終点となり、ここからは登山道。清八山までは20分だ。清八山から望む富士山は、山頂の松の木が富士山を際立たせてくれ、絵に描いたような景色を楽しむことができる。
松の木と富士山の構図で写真の雰囲気が変わるので、ベストな位置を見つけて写真を撮ろう。
清八山から本社ヶ丸へ続く登山道はそれまでより少し狭くなり、切り立った区間となるので足元に注意しながら進もう。
本社ヶ丸の山頂からはこれから歩く御巣鷹山、三ツ峠山を確認することができ、その向こうに富士山を望む。さらに南アルプスや大菩薩峠方面、八ヶ岳などのパノラマ、眼下には甲州の街並みが広がる。筆者が訪れた11月下旬、晴天の一日で、空気が澄み、遠くまで見渡すことができた。