10月に入ると秋は深まり、標高の高い山域では冬が訪れる。冬の知らせとして毎年ニュースに取り上げられるのが「初冠雪」だろう。特に富士山の初冠雪は毎年冬の到来を知らせるものとなる。
富士山は年間を通して非常に美しい山容で、唯一無二の存在であるが、筆者はやはり雪に覆われた富士山が一番好きだ。
今回はそんな冠雪した富士山を眺めるのにおすすめの山を紹介したい。
■富士山から約18km! 日本二百名山 毛無山(けなしやま・標高1,964m)
毛無山(けなしやま)は、山梨県南巨摩郡身延町と静岡県富士宮市にまたがる山で、日本二百名山や山梨百名山、静岡の百山などに選ばれている。
富士山の西側に位置する天子山地(てんしさんち)の最高峰でもあり、標高は1,964m。富士山から毛無山山頂までの直線距離は約18kmと近く、山頂からはダイナミックな富士山の景色を楽しむことができる。
毛無山へは東西南北から登山道が延びているが、今回は最短ルートを紹介する。
■登りがいのあるピストンコース
今回の起点となる麓(ふもと)登山口には駐車場があり、無人だが有料で、駐車料をポストに投函するシステム。付近には針葉樹に囲まれた森にひっそりと鎮座する麓宮(ふもとぐう)がある。ここで安全祈願をして山頂を目指そう。
歩き始めは林道歩きになる。登山口周辺はかつて採掘が行われていた場所で、今でもその跡が残っている。林道を進むと登山道への案内があり、そこから登山道となる。登山道に入る前に、林道歩きで少し体が温まったところでウェアを脱いで体温調整をしておこう。
登山道から稜線に出るまでは長い登りが続き、急な区間も多いのでペースを抑えて歩くといいだろう。
毛無山山頂までは1合目から9合目までの表示があり、山頂までの道のりを把握できる。筆者の実感では、4合目から7合目までが歩きがいのある区間だった。
基本的には樹林帯歩きになるが、8合目を過ぎたところに展望台があり、富士山の景色を楽しめる。
毛無山までは登山口からの累積標高差が1,100mを超え、一気に標高を上げるため、体力の消耗とペース配分に気をつけたい。
展望台からの景色でエネルギーチャージをした後は、山頂までの道のりが軽く感じた。9合目を過ぎると5分ほどで稜線に出る。そこからは起伏が緩く、平坦な箇所も多いからだ。
かつては稜線から南アルプスの景色もよく見えたようだが、現在では樹々が成長し、南アルプス方面の視界はさえぎられてしまっている。
登山口から約3時間20分、毛無山の山頂に到着だ。毛無山山頂は、三角点が設けられたところに標識があるが、最高点は別の場所にある。三角点から15分ほど歩くが、起伏は緩やかなのと、道中の景色がすばらしいのでぜひ足を運んでみてほしい。
毛無山最高点には鉄板でくり抜かれたかわいい標識が木にかかっている。