秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ 標高1,637m)は、山頂部にある主峰の男女岳(おなめだけ)や、男岳(おだけ)、女岳(めだけ)などの総称だ。山頂からは鳥海山(ちょうかいさん)や岩手山(いわてさん)などの雄大な山並みと、るり色に輝く田沢湖が一望できる。また花の山としても有名で、チングルマやコマクサなどの高山植物が見られるのも魅力だ。

 盛夏に秋田駒ヶ岳へ登ったので、その様子をレポートし、秋田駒ヶ岳の魅力をお伝えする。

■新道コース ~ 男女岳コースを利用

秋田駒ヶ岳の登山コース(画像: 国土地理院地図に筆者が加工して使用)

 今回利用したコースは「新道コース」と「男女岳コース」である。新道コースは、北側の8合目登山口から登り、阿弥陀池(あみだいけ)まで至るコースだ。山頂下までの距離が比較的短く、危険箇所もほとんどなく、多くの人が利用している。男女岳コースは、 阿弥陀池付近から男女岳へほぼ直登で一気に登るコースだ。山頂に登ったあとは、往路を戻って下山するルートを計画した。

 8合目登山口から山頂までの往復の歩行時間は約3時間。このコースにした理由は、同行する登山初心者のためである。できるだけ短距離で危険の少ないコースを選定した。

【新道コース・男女岳コース 標準所要時間】
上り(下り)
8合目登山口 10分~旧道分岐 25分(20分)~片倉岳展望所 35分(30分)~阿弥陀池 5分~男女岳分岐 20分(15分)~男女岳山頂

■アルパこまくさ ~ 8合目登山口

 8合目登山口前の道路は、夏から秋にかけての期間はマイカー規制が実施されている。そのため、車で向かう人はアルパこまくさや高原駐車場に車を停め、路線バスで登山口まで行く必要がある。

 筆者が訪れたのは、2024年7月14日。9時ごろにアルパこまくさへ着いたときには、すでに車が駐車場からあふれ、駐車場前の路肩に停めている車もあった。満車だったため、高原駐車場のほうに車を停めた。その後、アルパこまくさへ歩いて登山仲間と合流し、路線バスに乗って8合目登山口へ向かった。

▼秋田駒ヶ岳の交通規制について

秋田駒ヶ岳 観光情報 | 仙北市 (city.semboku.akita.jp)

■新道コース:8合目登山口 ~ 片倉岳展望台

日窒鉱山跡(撮影:川村亨)

 バスに揺られて約25分、8合目登山口へ着き、登る準備をする。登山口から歩き出したのは10時過ぎだった。緩やかな登りを歩いていると、旧道の分岐あたりに白い砂が積み重なった丘のような場所があった。標識もなくわからなかったが、後でガイドブックを見返したところ鉱山跡と書いてあった。

片倉岳展望台(撮影:川村亨)

 登山口から歩き始めて約30分、片倉岳展望台に着く。本来ならばこの片倉岳展望所から田沢湖が望めるのだが、あいにく薄く白い雲がかかっていたため見えなかった。この新道コースでは開けた場所にベンチが設置されており、こまめに休憩できるのがありがたい。