宮島(みやじま)は、広島県廿日市市(はつかいちし)に位置する島で、正式名称は厳島(いつくしま)。京都の天橋立(あまのはしだて) 、宮城の松島(まつしま)とともに、「安芸の宮島(あきのみやじま)」として日本三景の一つに名を連ねる。

 宮島の最高峰は、島の中央部に位置する弥山(みせん)という山で、標高は535m。この山の山頂を含む一帯は、多様な植生の残る原始林として天然記念物に指定されている。さらに、歴史的重要性も認められ、厳島神社とともにユネスコの世界遺産に登録されており、国内外から観光客が訪れる人気のスポットとなっている。

 山頂付近にある霊火堂(れいかどう)には、1200年以上燃え続ける「消えずの火」がある。この火は平安時代の僧侶・弘法大師(空海)によって灯されたと伝えられており、現在、原爆ドームのある広島平和記念公園の「平和の灯」の種火としても使われている。

 世界遺産・弥山山頂からの景色は特にすばらしく、潮の満ち引きで景観の変わる厳島神社や瀬戸内海、四国の山々まで見渡せる。

 山頂を訪れた初代内閣総理大臣、伊藤博文(いとうひろふみ)に「日本三景の一の(一番の)真価は頂上の眺めにあり」とまで言わしめた絶景を、ぜひ体験してほしい。

■弥山へのアクセスとハイキングコース紹介

●フェリーで瀬戸内海を渡り、世界遺産・宮島へ

「みせん丸」に乗船し、瀬戸内海を渡り宮島を目指す

 宮島には、宮島口桟橋(みやじまぐちさんばし)からのフェリーを利用する。車の場合は、広島岩国道路(いわくにどうろ)廿日市ICより宮島口桟橋前駐車場まで約10分、電車の場合はJR宮島口駅、または広電宮島口駅から徒歩6〜7分ほどで、フェリー乗り場に到着する。約10分間の船旅を楽しんだら、いよいよ世界遺産、宮島に上陸だ。

●宮島港から厳島神社を散策し、「宮島ロープウェイ」で弥山中腹へ

表参道を通り厳島神社へ向かう。右手は瀬戸内海
厳島神社本殿の奥には五重塔も見える
筆者来訪時は、海に浮かぶ大鳥居は大改修の真っ只中だった

 宮島に降り立つと、厳かな雰囲気に包まれながらも、かわいらしい野生の鹿たちの姿を目にする。人馴れしおとなしいが、思わぬケガの恐れがあるので、特に立派な角を持った男鹿には近寄らないようにしよう。

 さて、一直線に宮島ロープウェイを目指すのもよいが、海沿いの参道を10分ほど歩き、厳島神社と大鳥居を観光するのもおすすめだ。ゆっくり見て回っても30分程度で神社の境内を見学できる。厳島神社の社務所裏手には、宮島ロープウェイ乗り場までは無料連絡バスもあるので、一通り見学したら社務所を目指すとよいだろう。 

 いよいよ弥山山頂に向けて出発。宮島ロープウェイで中腹の「獅子岩(ししいわ)駅」までは、眼下に広がる紅葉台公園(もみじだいこうえん)と瀬戸内海の景色を楽しめる、およそ25分の空中散歩だ。

 ロープウェイを降りた後は、山頂まで約30分のハイキング。なお、獅子岩駅より先では飲み物などを購入できる場所がないので、事前に準備しておこう。

●「獅子岩駅」から弥山山頂までのコースタイム紹介

獅子岩駅(0:00)→天然記念物原始林の石碑(0:10)→弥山本堂/霊火堂(0:25)→弥山山頂(弥山展望台)(0:30)

島内では野生の鹿を至るところで目にする