「火起こし」と聞くと難しいイメージがあるが、コツさえつかめば、実は簡単に火が起こせる。2024年2月、アウトドア歴9年の筆者が、キャンプではじめての火起こしに挑戦。ファイヤースターターを使って火を起こし、映画『ハウルの動く城』に出てくるベーコンエッグを作るのがキャンプのミッションであった。

 この記事では、はじめての火起こし体験で感じたファイヤースターターのメリットやデメリット、火起こしのコツを紹介する。

■ファイヤースターターとは

ファイヤースターター左がストライカー、右がロッド(撮影:兎山 花)

 「ファイヤースターター」はライターなどの代わりに火花を散らして着火させる道具で、メタルマッチとも呼ばれ、現代の火打ち石である。

 「ストライカー」と呼ばれる金属製の道具で「ロッド」と呼ばれる金属製の棒を擦って火花を散らす。使い方は、まずストライカーでロッドを削って、金属製の粉を火種の上にかけておく。その後、ストライカーでロッドを擦り、火花を散らして先ほど削った金属粉に着火させる。

 ロッドにはマグネシウム製とフェロセリウム製がある。マグネシウム製は安価で、100均でも売られているが、発火温度が300℃以上と高いので着火しにくいのがデメリットである。

 フェロセリウム製は高価だが、発火温度が150〜180℃と低く、軽い力で火花を飛ばせ、素早く着火できる。

 今回筆者が利用したのは、ホームセンターで980円で購入したマグネシウム製のファイヤースターター。コツをつかめば難なく着火できた。

 ファイヤースターターは通常ストライカーとロッドがセットになっており、ホームセンターやアウトドアショップ、100均などで手に入る。

■ファイヤースターターのメリット、デメリット

 ファイヤースターターの最大のメリットは湿気や雨に強いことである。濡れたら拭いて使用すればよい。低温や気圧にも左右されないため、登山など標高の高い場所でも使用できる。ロッドは削って使用するので少しずつ消耗していくが、使用可能回数は約1〜3万回と言われており長期に渡って使える。

 さまざまな災害に見舞われる日本において、使い方さえマスターしておけば防災用品としても有効である。

 一方デメリットも。火花をコントロールできないので、室内での使用はおすすめできない。また、戸外であっても火花が衣類や皮膚など対象物以外の物に着火しないように、使用には注意が必要だ。