■自然からヒントを得て生まれるアクセサリー

民芸品のクマの木彫りからインスピレーションを受けて作られた「カオクマネックレス」

 今年も残りわずか。12月と言えば街中自体がラッピングされたかのように眩しく輝き、一年の中でもとくに心踊る一大イベント、クリスマスが待っている。読者の中には、どんなものをプレゼントしようかと、頭を悩ませている人も多いのでは。

 今回は日頃からアウトドアを愛してやまない人に贈ると喜ばれるであろう「山にまつわるアクセサリー」を紹介する。自然からインスピレーションを受け、感動や心揺さぶられる瞬間を形にする、山をテーマにしたアクセサリー誕生のきっかけ、作品に対する想いを制作者であるジュエリーデザイナー小森愛さんにインタビューを行った。

 「山にまつわるアクセサリーを作り始めたキッカケはコロナです。これからどうしようという思いと同時に、思いがけず時間ができたので、普段はできない創作の機会に充てることにしました。オンラインで販売でき、自分もこの先長く楽しめるものをと考え、元々山が好きだったこともあり「山にまつわるアクセサリー」がそこで誕生しました」

クマとサケがモチーフになったマンテル式のブレスレット「クマとシャケ」

 普段から自然、とくに森や木の緑、植物を眺めることが好きな小森さん。マリッジリング、エンゲージリングも自然をモチーフにし、他とは違うオンリーワンのデザインを探し求めるカップルを中心に全国各地にファンも多い。コロナ禍をきっかけに誕生した「山にまつわるアクセサリー」、最初の作品もクマがモチーフとなった。

 「一番最初は木彫り熊マスクのペンダントを製作しました。男女共通で幅広くみんなで使えるものをと考え、民芸品のイメージを残しつつ山の神様であるクマをモチーフにしました。普通のクマではなく、北海道の温泉街の売店に売っているような木彫りのクマをイメージしていましたね」

 それからも、クマとスキーを組み合わせたブレスレットや等高線をデザインに取り入れたリングなど、山を連想させるモチーフを取り入れた作品を発表し続けている。「山にまつわるアクセサリー」のデザインルールは「山にあるものすべてで構成すること」。敢えてルールを緩く、幅広くすることで、自身がワクワクした気持ちで制作できることを大切にしているとか。

 制作過程では、実用性、耐久性、身に着けている人の体の一部になるようなデザインなど 、イメージを形にするだけではない、生みの苦しみももちろんあるようだ。

 「自然に触れた時の模様や質感を大事にしています。例えば、地図の等高線が自分の中に印象として強く残ると、何か形にしたいという思いに変わります。自分の中の旬なイメージを形にした方がやはりいいものが作れますね」