夏が終わり、歩きやすい季節になってきた。どこに行こうかと関西から車でアクセス良好な鈴鹿の登山地図を眺める。夏場はヒルが多く、冬は多くの山が冠雪するため、鈴鹿の山を歩くには秋がピッタリの季節だ。ふと目に留まった山の名が「宮指路岳」。「宮指路岳」と書いて「くしろだけ」と読むらしい。「なんだか面白い名前」ということで、今回のターゲットとする山が決まった。

■鈴鹿山系の亀山7座トレイル

 宮指路岳へは、「仙ヶ岳(せんがたけ)」をからめるルートで登山を計画した。仙ヶ岳は三重県亀山市と鈴鹿市、滋賀県甲賀市の境にある山で、鈴鹿山系の南部に位置し、「亀山7座トレイル」の一つでもある。世界に14座ある8,000m級の山のうち7座の登頂に成功した亀山市出身のアルピニスト故尾崎隆氏の偉業を讃え、尾崎氏の登山人生の出発点となった700m級が連なる鈴鹿山脈の山々を選定し、亀山7座トレイルとした。仙ヶ岳はその最高峰である。 

■登りごたえのある「宮指路岳〜仙ヶ岳」ルート

仙鶏尾根(せんけいおね)の岩場、トラロープはあるが切れかかっているので注意(撮影:兎山 花)

 仙ヶ岳は標高961mの山で、主な登山口に「小岐須(おぎす)渓谷キャンプ場」と「石水渓(せきすいけい)キャンプ場」がある。どちらから登っても変化に富んだ登りごたえのあるルートだ。

 今回計画したルートは、小岐須(おぎす)渓谷キャンプ場を起点とする宮指路岳、仙ヶ岳周回ルート、所要時間は約5時間半である。道標こそしっかりとしているものの、不明瞭な登山道が多く、しっかり読図をしながら登っていく必要がある。

■宮指路岳の「謎」が解ける!

宮指路岳の山頂で謎が解ける(撮影:兎山 花)

 小岐須渓谷に駐車して、ヤケギ谷ルートで宮指路岳を目指す。道標はしっかりとしているが、途中ヤケギ谷から尾根に乗るために、ルートが南へ折れる場所は注意が必要だ。見逃さないように現在地を確認しながら登っていこう。

 登山口から約2時間で三角点のある宮指路岳山頂だ。そこで宮指路岳の謎が解けた。「宮指路岳946m」と書かれた道標が立っていた。「946=くしろ」なるほど! うまいことを考えたものだ。一説によると宮指路岳は「長いあいだ山名がなく新しく名づけられたもの」と言われている。

 三角点のある山頂から少し北側に、視界が開けた広い休憩適地があるので立ち寄ってみよう。奇岩がゴロゴロと点在しており、鈴鹿の山々を眺めることができる。

眺望のよい宮指路岳山頂(撮影:兎山 花)
奇岩が点在する宮指路岳山頂(撮影:兎山 花)