■農園直伝! おいしい房の見分け方
味はもちろん、食べやすさや保存においても、魅力があふれるシャインマスカット。しかし、デパートでの価格は1房2000〜6000円ほどで、普通の果物に比べて手を出しにくい。そう思っていた数年前、友人に誘われたのが「シャインマスカット狩り」ツアーだった。農園では30分食べ放題で2500円からだという。「あの高級品種が好きなだけ食べられるなんて?!」、すぐに誘いに乗った。
農園に到着すると、藤棚のような天井にはすでにマスカットのつると葉が延びており、房には実がついている。葉っぱの間から差し込む日差しが美しい。案内に沿って「狩り」ができるという農園内に入ると、そこには白いジャケットを羽織ったように紙袋で大切に守られ、たわわに実をつけたシャインマスカットが幾重にもなっていた。どこを見渡しても、美しく続く房の数々。まるで楽園のようだ。「これ全部食べていいの?」と子どものようにはしゃいでしまった。
その際に農園の方に直接聞いた、おいしい房の選び方のポイントについて紹介したい。
大切なのは色だ。一般的にシャインマスカットはエメラルドグリーン色という印象があるが、実は黄色に近いほうが熟しており甘味が強いという。反対に緑色が濃い房は、マスカット特有の芳醇な香りが楽しめるそうだ。
農園では面白い発見もあった。同じ木になっている房でも、それぞれ味が異なるのだ。日当たりや成長具合も関係しているという。友人と別々にちぎった房を食べ比べたが、酸味や水分量、甘味の強さなど、それぞれに差異があり自分で選んだ「一房」に愛着がわいた。自分好みの房を探すのも楽しいだろう。
農園では購入や配送もでき、自宅でゆっくり味わうことも可能。おすすめの食べ方を聞いたところ、「少しだけ冷やして」または「氷水でさっと皮だけ冷やして食べて」とのこと。温度が15〜20度の状態が、本来の甘味が堪能できて一番おいしいそうだ。冷蔵庫で冷やしすぎるのは禁物だという。常温でも十分においしく、香りと甘みを感じられた。