関東甲信越では激しい雨が降ったかと思うと、真夏を彷彿とさせるような強い日差しが降り注いだり、蒸し暑い日が続いていますね。長野県在住の筆者が、お隣の群馬県へフライフィッシング・プチ遠征に赴きました。お目当ては、“利根マス”です。「利根川」を遡ってきたサクラマス(ヤマメ)です。

■流域面積日本一! 坂東太郎「利根川」を遡るサクラマス“利根マス”

渋川市郊外の利根川。太平洋からここまで遡ってくる旅路を想像すると、“憧れ”や“尊敬”の念が湧き上がります

 関東平野を流れ、流域面積日本一として知られる「利根川」。実はアユやサケも遡上する川で、渓流魚であるヤマメも生息しています。

 日本固有の渓流魚であるヤマメですが、成長の途中で降海(降湖)し、産卵のために再び生まれ故郷の川に戻ってくるタイプが存在します。それがサクラマスです。大きく成長したサクラマスは、ヤマメのイメージを覆すような風貌です。大きさも40cm、50cm、それ以上のものも釣れているようです。燦然と銀色に輝くウロコに身を包んだ流線型の体躯、厳つい顔つき、発達したヒレ……。まるで別の魚のようです。

 利根川を遡り群馬県の奥深くまで辿り着くには、(溪にもよりますが)300km以上の長旅になります。都市部や数々の堰などの障害を越えての大移動です。にわかには信じ難いですね。こういった戻りヤマメを“モドリ”と呼称する地域は多いですが、この一帯では「利根マス」とも呼ばれています。

 産卵のために生まれた川を遡っていく生命力。その壮大な旅路に感服するばかりです。「ぜひ一度は自分の手で釣って、その顔を拝みたい」そう思って利根川へ向かいました。