京都で舞台があるお寺と聞いたら、ほとんどの人が清水寺を思い浮かべるだろう。世界遺産に登録され、紅葉の名所としても評判が高い清水寺は、国内外の観光客から高い人気を集めている。

 しかし、京都にあるお寺で舞台を備えているのは、清水寺だけではない。清水寺から7kmほど北へ進んだ場所に位置する狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)にも、立派な舞台がある。

 今回は京都にあるもう一つの清水寺、狸谷山不動院を紹介する。

■市バス「一乗寺下り松町」から狸谷山不動院へ

 京都市内から狸谷山不動院を訪れる手段としては、公共交通機関を使う場合、バスと電車の2種類がある。今回は狸谷山不動院に近い、市バス「一乗寺下り松町」で下車。

 狸谷山不動院は、標高301mの瓜生山(うりゅうやま/うりゅうざん)の、山頂付近に位置している。バス降車後は、登り坂が続く。

 住宅街を抜け、国の史跡にも指定されている詩仙堂(しせんどう)の前を通り過ぎ、狸谷山不動院へと向かう。詩仙堂を過ぎたあたりから山林に囲まれ、ぽかぽか陽気と時折現れる木陰が心地よかった。

■狸谷山不動院に到着! 「宮本武蔵修行の滝」など境内をぐるりと巡る

参道の入口では大きな石柱と、大量の狸の置物が参拝者を出迎える(撮影:加藤和花) 

 狸谷山不動院に到着すると、寺の名前を刻んだ大きな石柱とたくさんの狸の置物がある。寺院名に「狸」が入っているから、狸の置物なのだろうか。

 鳥居をくぐり、約250段ある階段を上っていく。階段の途中にはお迎え大師や弘法大師光明殿などの見どころスポットがあり、休憩も兼ねてお参りしながら進んでいった。

宮本武蔵修行の滝。現在は滝の下に小さな石像が安置されている(撮影:加藤和花)

 階段を上り切ったところには広場があり、周りをぐるりと囲むように社やお堂が建っている。順路通りに進むと、剣豪・宮本武蔵が修行したと言い伝えられている滝があった。

 狸谷山不動院山麓での決闘に挑む前に修行し、己の恐怖や煩悩を打ち払ったとされている。現在は水の流れは穏やかで、岩肌を程よく濡らしている程度だった。