四国八十八箇所霊場巡り、通称「お遍路」は巡礼の中でも有名で、その名前を耳にしたこともあるのではないだろうか。

 弘法大師(空海)にゆかりのあるお寺88箇所を参拝することで、煩悩を清めるとされている。全長1400kmに及ぶお遍路は、全ての寺を巡ると40日程度かかる。

 ここまで聞くと「お遍路って楽しいの?」と思われるかもしれないが、実際に行ってみるとレジャー要素も多く、旅行の目的としてもおすすめだ。

 お遍路は、全てのお寺をまわる必要はなく、興味のあるお寺だけ訪れる方もいる。今回は神奈川県在住、お遍路歴5年の筆者がおすすめのお寺と、現在行われている「弘法大師御生誕1250年記念事業」を紹介しよう。

■弘法大師御生誕1250年事業とは

88箇所巡りの御朱印帳、青い印が生誕1250年記念印(撮影:坪井 千晶)

 現在行われている「弘法大師御生誕1250年記念事業」とは、弘法大師様の誕生祭。

 寺を参拝した時、多くの方は「御朱印帳」に、参拝した証の御朱印をもらうが、生誕祭の期間に納経すると、ご朱印と一緒に弘法大師さまの1250年誕生祭限定のカードや記念印を受け取れる。なお、令和6年12月31日まで開催されている。

生誕祭記念カード(撮影:坪井 千晶)

■旅行や記念におすすめのお寺3選

 なかには独自の工夫や趣向を凝らしたおもてなしを提供するお寺が存在する。88箇所全ての寺を回らなくてもお遍路は楽しめるのだ。レジャーや記念で訪れるのにおすすめの寺と、少し変わったお遍路の楽しみ方を紹介しよう。

●キャンプが楽しめるお寺「岩本寺(いわもとじ)」

 第37番寺「岩本寺」は、高知県四万十町にある。前後の寺との距離が長い(36番寺との間隔:58.5km、38番寺との間隔:80.7km)ため、昔からお遍路さんに宿坊としても愛されているお寺だ。この寺では、1日1組限定で、キャンプやバーベキューが楽しめる。

岩本寺のキャンプ会場入り口(撮影:坪井 千晶)

 キャンプ道具もレンタルでき、手軽に本格的なキャンプが楽しめる。テント泊はもちろん、デイキャンプや、宿泊は宿坊で夕食をバーベキューに変更するなど、さまざまな楽しみ方ができる。

夕食のバーベキューの後、焚き火を囲みリラックスタイムを楽しむ(撮影:坪井 千晶)

 夜、焚き火を囲んでの食事は、日中とは違った雰囲気がある。宿坊には大浴場もあり、アウトドアを楽しみながら旅の疲れも癒せる贅沢なお寺だ。

 岩本寺は、四万十町の行う町おこしプロジェクト「!SHIMANT(あっとしまんと)」にも参加しており、現代アートを取り入れるなど、若い人が楽しめる工夫もしている。

「岩本寺」入り口には、現代アートが飾られている(撮影:坪井 千晶)

【アクセス情報】

・住所/高知県高岡郡四万十町茂串町3-13
・電話/0880-22-0376
・電車/黒潮鉄道 中村線 窪川駅から徒歩10分
・車/高知自動車道 四万十町中央ICから約6分 駐車場 20台
・寺キャンプ/基本料金:3400円 1人追加ごとに+1000円 6歳以下は無料(入浴料、貸しタオル、歯ブラシを含む)
・食材/4100円・6600円・1万300円の3プラン。バーベキューレンタルセット料金:3000円
(テーブル、イス、調理器具、焚き火台、調味料、薪、炭、割ばし、紙コップ、紙皿10人分セット含む)
・宿坊宿泊/1泊:6800円食事付。予約状況によって、宿坊泊でも夕食をバーベキューに変更可能

・URL/https://at40010.jp/post_experience/1351/