一気に暖かくなって日本全国桜前線が北上中。春本番ですね。「桜もいいけど、ちょっと変わったお花見をしたい」、そう思った筆者は家族を連れて“黄色い妖精が舞う”森へ出かけてみた。

■薄暗い谷間のトレイルを明るく照らす黄色い花「ミツマタ」

森全体を明るく照らすミツマタの大群生は圧巻だ

 シトシトと降り続ける霧雨の中、薄暗い針葉樹の森の深い谷間を歩いていく。淡い新緑とウグイスの鳴き声が、もう春が来たことを告げている。手入れが行き届いたスギとヒノキの森の中は、空気はいいが少し薄暗い。

 霧のせいもあるが「暗い雰囲気のトレイルだな」と思いつつ歩いて行くと、森全体が少し明るくなっているところがある。近づいていくと周囲はさらに明るくなっていき、少し甘い花の香りもしてきた。「あぁ、本当にあったんだ」、暗い谷間のトレイルを明るくてらす花のトンネル。

 黄色く小さいたくさんの花は、夜道を照らす街灯のように優しく輝いていた。その黄色い花の名はミツマタ。この花の群生地がある焼森山(やけもりさん)・鶏足山(けいそくさん)は、この時期になると絶景のトレイルが現れるのだった。

■和紙の原料の花ミツマタとは

幻想的なミツマタの群生地。それは人と山が共存していた証なのかもしれない

 春を告げる花として知られているミツマタは。日本の紙の三大原料、コウゾ・ミツマタ・ガンピの中の一つで、和紙の原料では最高級品と言われている。“みつまた”に分かれた枝先に花を付けることが名前の由来となっている。

 花をよく観察すると小花が寄り添って咲いており。咲き始めは白っぽいが段々と黄色へ変わり、最後は黄金色へ! 暗い森の中だと、ひと際明るい黄色に見える。群生地は関西や関東に多く、筆者の住む新潟の豪雪地にはないようである。

 ちなみに園芸品種で紅色のミツマタもあり、この付近の庭先にも植えられていた。