大阪市から神戸市の阪神間は、阪急神戸線、JR神戸線、阪神本線の3路線が大阪梅田駅(JRは大阪駅)と神戸三宮駅(同・三ノ宮駅)を結ぶという全国でも珍しい地域だ。では三宮以西はどうかというと、これもなかなか珍しい路線網となっている。

 JRは三ノ宮を出ると、そのまま明石、姫路から岡山、広島方向へ進む。阪急は神戸三宮が終点で、阪神は次の元町が終点だ。そして、阪急の三宮と阪神の元町から西代駅をつなぐのが神戸高速鉄道である。

 神戸高速鉄道は、その名のとおり鉄道会社ではあるが車両も乗務員も保有していない。線路や駅といった設備を管理運営するものの、東西線の運行は阪神と阪急、南北線は神戸電鉄が行なっている。

 さらに東西線には山陽電気鉄道(山陽電鉄)も乗り入れている。そのため、阪急は新開地駅まで、阪神は西代駅まで、山陽は山陽姫路駅から阪神の神戸三宮駅まで電車を走らせている。そのうえ山陽と阪神は、姫路から梅田までの直通特急も相互運転しているのだ。

 このように、三宮~新開地間は1つの路線に3社が乗り入れていることになり、阪急のマルーンカラーと阪神のプレストオレンジの車両を、同じホームで見ることも可能だ。しかも神戸高速は地下路線で、神戸市内には地下鉄路線も通じている。地上路線のJRをのぞくと、神戸の地下には阪急、阪神、山陽、神戸電鉄、地下鉄の電車が、それこそ「うじゃうじゃ」という状態で走っているのである。

 そんな神戸高速鉄道の沿線で、特徴的なのが新開地駅界隈だ。その魅力を楽しむには、高速神戸駅から新開地駅までの地下道をたどるのをオススメしたい。

 この地下道は「メトロこうべ」といい、高速神戸駅の東改札口から西改札口付近までが「神戸タウン」。いくつかの店が点在しているものの、若干の寂しさはぬぐえない。神戸タウンを西に進むと中間通路で、右側に品ぞろえも豊富な古書店が2軒並んでいる。そして古書店を過ぎた左側にあるのが「メトロ卓球場」。そのまま進むと、右側の壁には「わくわく散歩道」や「トリックアート」の壁画が並んでいる。

 通路を抜け、新開地駅東改札口と西改札口の間が「新開地タウン」。神戸タウンとは打って変わって、飲食店が軒を連ね昼飲みOKの店舗も多い。

■メトロ卓球場

 メトロこうべの中間通路にあるメトロ卓球場。創業は1971年。13台の卓球コートをそろえ、料金は大人600円(30分)、中学生以下500円(同)。ストレートピアノが置かれた中央広場をはさんでメトロ第2卓球場(メトロTT-スタジオ)もあり、こちらは卓球教室や公式大会が行われている。

メトロこうべの中間通路にあるメトロ卓球場

■中央通路に描かれた壁画

 メトロこうべは神戸高速の開業と同じ1968年にオープン。壁画は、メトロこうべの来歴や神戸の懐かしの風景を描いた全長60メートルの「昔なつかしわくわく散歩道」、神戸市在住のイラストレーター、都あきこ氏のイラストによる全長45メートルの「わくわく散歩道」、市電が走っていたころの三宮や新開地をモチーフにした3点の「トリックアート」が設置されている。

中央通路に描かれた壁画

■新開地タウン

 神戸タウンよりも飲食店が多くて活気があり、気候や天気を気にせず、観光客でも安全・安心に飲める店が並んでいる。

メトロこうべ「新開地タウン」の様子