BBQの食材には色々あるが、福井県民は歯ごたえのある「親鶏」を強火で炙って食べるのが大好きだ。また、油揚げの人口あたり消費量が57年連続日本一であり、これももちろん炭火で焼く。そして、「鯖街道」の起点であることもあり、鯖を豪快に1匹丸ごと焼く。福井県へキャンプに来たならぜひ試してもらいたい3つのメニューだ。そして、越前海岸に「ガラガラ山キャンプ場」が今年10月8日にオープン。「焚火台常設・薪使い放題」の新サイト「Kikoria  キコリア」についても紹介する。

■福井県民は「若鶏」よりも「親鶏」を好む

 福井県は世帯当たりの焼き鳥の購入金額が全国3位(出典:総務省家計調査)と、焼き鳥が大人気の土地柄だ。それも、柔らかい「若鶏」よりも、卵を産むために飼育日数が長く肉の締まった「親鶏」を好んで食べる。これは福井市に本社のある焼き鳥チェーン「やきとりの名門  秋吉(あきよし)」の存在が大きいと思われる。「秋吉」の店舗に入ると、オープンキッチンで燃え上がる炎が目に入る。

 この「秋吉」のメニューのトップに載っていて、一番人気なのが「親鶏」を使った「純けい」。炭火で炙ると滲み出た脂が落ちて炎が燃え上がり、余分な脂が落ち、噛みしめると旨味が口の中いっぱいに広がる。

親鶏を強火で炙ると、脂がカラッと香ばしくなる

 また、福井のスーパーに行くと永平寺町の「前田(まえだ)かしわ店」、大野市の「大美(おおみ)商店」のような鶏肉専門店や、坂井市のホルモン製造元「福田(ふくだ)商店」などの味付け親鶏が売り場に並んでいる。炭火で炙りたてを食べると最高だ。

■57年連続消費量日本一の「油揚げ」を炭火で炙る

 総務省の「家計調査」が始まった昭和38年から、福井県は「油揚げ・がんもどき」の世帯当たり消費量が57年連続日本一だ。福井県には曹洞宗(そうとうしゅう)の総本山である「永平寺(えいへいじ)」があるなど仏教の信仰心が強い土地柄であり、肉や魚を使わない精進料理がよく食べられたことも一因と言われている。

 福井のスーパーでは、「ケンミンショー」でも取り上げられた坂井市竹田地区の「谷口屋(たにぐちや)」のジャンボ厚揚げや、織田信長の一族のルーツである越前町織田地区の「おたとうふ」、永平寺のお膝元永平寺町の「ヤマギシ」など、有力なメーカーの油揚げがズラリと並んでいる。また、毎年秋になると全国でも多分ここだけであろう油揚げの食の祭典「あげフェス」が開催される。

厚揚げを炭火で炙ると香ばしくなる

 この「油揚げ」を炭火で炙り、刻みネギをのせたり、軽く炙った味噌をのせて食べる。日本酒と合わせるとたまらない。

■そして、「鯖の丸焼き」

 古来より、福井県若狭地方から京都に通ずる道は「鯖街道」と呼ばれ、京都への鯖の供給路だった。近年では空弁の「焼き鯖寿司」が人気。そして、夏至から数えて11日目「半夏生(はんげしょう)」の日には、福井県内の家庭では鯖の丸焼きを食べるという習慣がある。

弱火でじっくりと鯖を炙る

 BBQなら焼きたての丸焼き鯖を食べられる。福井のスーパーや鮮魚店に行くと、生の鯖を一匹丸ごと売っている。(鮮度の良いものでないといけないので、常に店頭に並んでいるとは限らない。)買う時にはワタ(内臓)を抜いてもらおう。

 塩を振り、弱火でじっくりと長時間火を通す。完全に中まで火が通るようじっくりと焼く。サバの脂の旨味が凝縮し、最高に旨い。