<レイク&ハイク 前編>神秘の湖「四尾連湖」を拠点に歩く「絶景富士見ハイク」

 ぼくの大好きな八ヶ岳は、どのルートを歩いても登山客で賑わう非常に人気の高い山域で、とくに10月初旬から本格的に色付きはじめる紅葉シーズンは、待ってましたとばかりに観光客が押し寄せる。南北30kmに及ぶ長大な連峰だけに、登山をしなくても自然の美しさに触れられる峠や池といった観光名所があちこちにあることが、人気の理由のひとつだろう。ゆえに、山道ですれ違うのは、ハイカーばかりではない。

 そんな中で、観光客も登山客も少ない静かなルートとして注目を集めるのが、北八ヶ岳の池を巡るルートだ。急峻な岩稜帯が広がる南八ヶ岳とは異なり、北の山域は比較的新しい溶岩台地に広がる原生林が特徴なので、水辺も多いというわけだ。

 たとえば、麦草峠を起点にして茶臼山と雨池を時計回りにつなぐルートは、北八ヶ岳らしい水辺の風景を楽しめるとともに、南八ヶ岳のようにダイナミックな岩場と圧倒的展望にも恵まれている一石二鳥の好ルート。赤岳や天狗岳といったメジャーな山岳のピークを目指すよりも高低差は小さく歩きやすいため、初心者に八ヶ岳の魅力を知ってもらうにもちょうどいい。

■マイナーだけどすごい山! 想像以上の絶景が待っている茶臼山

縞枯山、北横岳、蓼科山といった、北八ヶ岳の名峰がすぐそこに!

 車でアクセスできる麦草峠から、きれいに整備された木道を南東へ15分ほど歩いたところに名勝「白駒池」がある。とても手軽なだけあって、登山をしない観光客や水辺の紅葉を写真におさめようとやってくるカメラマンにも人気が高い。

 茶臼山は、その逆の北西に向かうことになる。麦草ヒュッテそばの登山口から入山すると、白駒池とは異なって一気に人影がまばらになるのがわかるだろう。ここから1時間も歩けば、標高2,384mの茶臼山だ。樹林などに遮られていた視界が一気に広がると、山頂はもう眼前。

麓の樹林の向こうには、南アルプス、中央アルプス、北アルプス、霧ヶ峰、そして木曽御嶽も