奥秩父山地の南、山梨県に位置する火山、標高1,704mの茅ヶ岳(かやがたけ)。

 遠くから見る茅ヶ岳の景色が八ヶ岳(やつがたけ)に似ていることから地元で「ニセ八ツ」とも呼ばれている茅ヶ岳は、『日本百名山』の著者・深田久弥(ふかだきゅうや)氏の終焉の地としても知られている。深田氏は茅ヶ岳登山中に脳卒中で逝去されたことから、山中に記念碑が建てられ、麓には深田記念公園が整備されている。

 都心からもアクセス良好な茅ヶ岳は、深田記念公園を起点に往復4時間強で山頂に立てる、初心者でも登山しやすい山である。山頂からは奥秩父や南アルプス、八ヶ岳の山々や富士山が見渡せる、パノラマ大絶景が楽しめる。

 今回はそんな茅ヶ岳登山の魅力を紹介しようと思う。

■深田記念公園から茅ヶ岳山頂へ

 茅ヶ岳への登山口はいくつかあるが、筆者は中央自動車道韮崎ICから約15分の場所にある深田記念公園から出発した。登山口にしかトイレはないので、登山前にトイレを利用するのがおすすめだ。

登山口からしばらくは樹林帯を進む

 登山口からはしばらくは樹林帯の中にある幅の広い登山道を歩く。1時間30分ほど景色を楽しみながら歩くと、女岩と呼ばれる巨大な岩にたどり着く。女岩付近は落石注意のためロープが張られて近づくことはできない。ここからは女岩を巻くように急坂を登っていく。

山頂付近にある、『日本百名山』の著者深田氏の記念碑

 傾斜が急で体力を消耗するので、無理せずに休憩を挟みながら歩こう。30分ほど急坂を踏ん張って歩いたところに、深田氏終焉の地記念碑が建てられている。記念碑には多くの登山者が手を合わせており、筆者も登山仲間と足を止め、記念碑に手をあわせてから山頂へ。