那須岳は標高2,000mに満たないものの、火山が作り出した独特な荒涼感漂う風景が多くの登山者を惹きつける名峰だ。古くは硫黄鉱山として栄えたその特異な姿は、深田久弥の百名山の1つにも選ばれている。
東京から最寄りの那須塩原駅まで新幹線で約1時間と近いこと、そしてその猛々しい姿とは対照的に、山の9合目までかけられた観光ロープウェイを利用すれば、山頂まで1時間弱で登頂できる手軽さが人気の理由となっている。登山道はよく整備されていて歩きやすく、愛犬もロープウェイに乗ることができるので一緒に登山が楽しめる珍しい山だ。ロープウェイを使わない場合でも、駐車場から山頂までは2時間弱で辿り着ける。
風が強くなりやすい場所なので、防寒対策や天候にさえ気をつければ、登山入門者でも十分高山の雰囲気を楽しめる手頃な山である。
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街に夏のような暑さが戻った9月の上旬、山の上には吹き抜ける風はひんやりと冷たい。足元には秋の訪れを告げるリンドウやトリカブトが咲き、シラネニンジンの真っ白な花と赤い実が岩陰を彩っている。山の斜面には風に吹かれたススキが一斉に首を傾げ、すっかり秋の雰囲気を漂わせていた。
山頂の往復だけでは歩き足りない場合は、隣の朝日岳まで足を延ばしたり、三斗小屋温泉と三本槍岳を縦走する健脚向けのルートも組める。そちらのルートは、岩場やクサリ場も現れる経験者向きルートになっているので、登山装備のない方は間違って踏み込まないように。
他にも、茶臼岳の展望と湿原歩きが楽しめる日の出平・南月山・白笹山を巡るルートや、中の大倉尾根から鬼面山にかけての紅葉を楽しみながら北温泉方面に下山するルートも魅力的だ。
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ちなみに、この山域には2種類のリンドウが咲いている。花の見た目はそっくりな、エゾリンドウとオヤマリンドウだ。見分け方は花のつき方。エゾリンドウは茎の途中にも花をつけるが、オヤマリンドウは茎の先端部のみに花をつける。
心置きなく出かけられるようになったら、ぜひあなたの目で違いを確かめてみていただきたい。
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