以前、「スポーツバイクを買うならマウンテンバイク(= MTB)がいいよ〜」といったことを書きましたが、今回は「どうやってMTBを始めるか?」というMTB業界最大の難関にチャレンジしたいと思います。

 ネットで「MTB 初心者」といったキーワード検索をかけると、だいたいどの種類のMTBを買うかという記事に行き当たります。「何を買うか」はそういった記事にお任せするとしても、どう始めるか(どう買うか)は意外と分かりにくいかと思います。

■買っちゃう?  もしくは借りてみる?

 スキーやスノーボードのようにレンタルをして始めるのが当たり前というほど、マウンテンバイクのフィールドやレンタルが多いわけではありません。しかし、最近は各種マウンテンバイクガイドツアーやマウンテンバイクフィールドは増えてきているので、探してもらえると色々とあるかと思います。

 もちろん弊社のガイドツアーも含めてフィールドは山の近くにあるので、周辺には温泉などもある場合が多いです。観光やキャンプ、旅行と絡めてマウンテンバイクをレンタルして初挑戦してもらうのが良いかと(勝手ながら)思います。「そんな時間がもったいない」とか「移動手段としても使えるから、とりあえず買う」という方もいるかと思いますが、買う場合は「何を買うか」でなく、「どう買うか」が重要になってきます。

■いざ購入!  ネット or プロショップ(専門店)

●ネットのメリット・デメリット

 今の時代、ネットでなんでも買えます。さらに色んな情報も得ることができます。さらに激安海外通販もあるので、色々調べてこれと思う商品を買うのもアリかと思いますが、マウンテンバイクを買うならプロショップがお勧めです。と、言いつつも自分も最初の1台はネットで買ったので、その失敗談も含めて話しを進めます。ネット通販でマウンテンバイクを買うと多くの場合は工場から出荷された七分組みという状態でダンボールに入って送られてきます。ちょっとした専用工具を揃える必要がありますが、家具の組立と似たような感覚で組み上げることができるので、届いたらすぐに乗ることができます。

長野県松本市にある「BIKE RANCH」

元五輪選手で東京五輪のMTB代表監督を務める鈴木氏が経営

 でも、当時は知らなかったのですが、プロショップで購入した場合、七分組みの状態から一度全てのパーツをバラします。必要な接合部分を平滑にする切削作業を行なったり、ホイールのバランスを取り直したり、一度ゼロから徹底的に組み上げ直します。逆に言うと、これをやるからこそプロショップなんですね。とある大手のバイクブランドはネットで購入手続きまで完了させて、実際の受け取りは直営ショップで、という手順を踏んでいるブランドもあります。また、そういったプロショップならではの作業をしての通販を行なっているショップさんもあります。

こちらも松本市内のプロショップ「CLAMP松本蔵」

ファッションやツーリングバイクの扱いが多い

本店「CLAMP伊那」

メンテナンスのほか、マウンテンバイクのレンタルや試乗もできる

 やはりそうやって組まれたマウンテンバイクは通販で自分が組み立てたそれとは全然違います。ちょっとしたネジの軋みだったり、ホイールのバランスがしっかり取れていたり、一つひとつは細かいことだったり。それらが積み重なったマウンテンバイク全体の一体感というか塊感が全く違ってきます。走っても、飛んでも、跳ねてもしっかりしています。

 そういうショップさんは買った時だけでなく、その後もしっかり面倒を見てくれます。実はここがすごく大事です。マウンテンバイクはシンプルですが、それなりの複雑さを持ち合わせているので、いざという時に駆け込めるショップがあるのは大きく違います。そう言った意味ではマウンテンバイクは家具というよりは自動車に近い感覚があると思います。安全に関わることも多いので、ちゃんとしたプロショップを最初に選ぶことをオススメします。

長野県松本市内のMTBバイクショップ「サイクルショップミツワ」

パーツ等も豊富

「サイクルショップミツワ」

経験豊富なスタッフがきめ細かいメンテナンスを行ってくれる

●プロショップのメリットデメリット

ここまで説明すると「プロショップありき」な感じでですが、デメリットといってよいものもあります。まず、小規模なショップさんが多いので、入りにくい。そしてフラッと一度入ると出にくい雰囲気がある。それぞれ個性的なショップが多いので、店員さんや店長さんも個性的だったりする。ついでに出入りしている常連さんも個性的だったりすると、シンプルに自分に合う合わないということはあるかと思います。